ITEM 01
ECWCS COLD WEATHER PARKA

ITEM 01 :
ECWCS COLD WEATHER PARKA
STYLED BY

HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

LAMBDA TAKAHASHI

DETAILS

ミリタリーのゴアテックス®️パーカは
あえてインナーに

イメージしたのはレイブでの着用シーンです。ECWCSを表に着るとどうしても“アウトドア”感が強くなってしまうので、シェルジャケットをあえてインナーにすることでいつもと違う見え方にしました。アウターには半袖シャツをそのまま拡大した〈ROTOL〉のオーバーサイズシャツを。どこかブランケットを羽織っているようにも見え、レイブシーンを想起させます。アウターをインナーに、本来インナーだったものアウターにするクロスオーバーがポイントです。
アウターオンアウターでトップスのボリュームが増すため、パンツはスリムなスキニーシューカットでVラインを構築。裾がやや広がるシューカットシルエットがVラインに変化を加え、ゆとりを持たせないストイックなサイズバランスが現代的です。足元はゴアテックス®️を配した〈Clarks Originals×BEAMS〉の『Desert Rock』を合わせ、ミリタリー感をさらにプラス。悪天候にも対応する機能性が一層イメージするシーンにマッチします。

横から見ても映えるアウターの三段レイヤード

ロング、ミドル、ショートのレングスが異なるアウターをレイヤードし、2000年代初頭の〈RAF SIMONS〉のようなムードを取り入れてみました。メインアイテムのECWCSはミドルとして着用します。一番下に着ているロングアウターは〈Abu Garcia×BEAMS〉のM-65をベースにしたコートで、トップに着ているのは〈Snow Peak×TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉のフィッシングベスト。前からはもちろんですが、横から見たシルエットのバランスも非常にインパクトがあって面白いと思います。
ポイントは、色のバランスをしっかり計算すること。主役に合わせてアウターのレイヤードはミリタリーカラーでまとめて、他のアイテムの色はなるべく抑えます。〈STONE ISLAND〉のハーフジッププルオーバーはグレーを、〈SSZ〉のスウェットパンツと〈Reebok〉のスニーカーはホワイトをチョイス。これでもスタイリングは成立しますが、〈ARC’TERYX〉のショルダーバッグを2つクロスさせることでさらにスパイスを加えています。

スピンドルとサイズ選びで
シルエット作りに工夫を

ECWCSのGEN1は初期、中期、後期と分かれているのですが、こちらのスタイリングで使用しているのは初期型です。初期型の象徴的なディテールのひとつが、ウエストにあしらわれているスピンドル。本来は風の侵入を防ぐためのものですが、シルエットのアレンジにも有効です。今回はこのスピンドルをギュッと絞ってバルーンシルエットを作ってみました。インナーには〈Champion×BEAMS〉のフーディーを合わせてフードオンフードの90年代的な着こなしに。フードを重ねることでアウターのフードを立たせるのがポイントです。また、フーディーのスナップボタンを開けるとシャツの襟が見えるので、さりげなくチェック柄を覗かせます。
〈SSZ〉のカーゴパンツはあえて一番大きいXLサイズのウエストを絞り、トップスに負けないボリュームを。少しトラッド感をプラスしたかったので、〈GRAVIS×SSZ〉のローファータイプのスケシューを合わせてみました。

ECWCS(エクワックス)とは、Extended Cold Weather Clothing Systemの略称です。このシステムは80年代に開発され、以降寒冷地でのレイヤリングシステムの発展にもなり、某大手ファブリックメーカー製の防水透湿素材を使用して作られていたものです。今シーズン仕入れたECWCSのGEN1は、中期型と呼ばれる貴重な米軍放出品で92年製のデッドストック。
初期型はフードの付け位置が低く、裾にスピンドルが配されていることで丸みのある雰囲気とシルエット。対する中期型は裾のスピンドルが簡素化されてスクエアシルエットに。新たにフードにファーを後付け可能なアジャスターが配され、バックディテールにもアクセントが生まれます。また、フードの付け位置も高くなり、襟元が適度に立つ形状に改善されました。後期型になると前立てが太くなり、フロントの印象が強くなります。BEAMSでは中期型が最もバランスがよく、ファッション的なモデルであると考えています。

  • フードはドローコードでフィッティング調節が可能で、ファーを後付けできるアジャスターが配されている。

  • 内側のボトム部分には、スノーガードが設けられ、風や雪の侵入を防ぐ機能を搭載。

  • 脇下には体温調節ができるベンチレーションを配備。

LAMBDA TAKAHASHI
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BEAMS ISSUE

ITEM 02
MA-1 FLIGHT JACKET

ITEM 02 :
MA-1 FLIGHT JACKET
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HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

LAMBDA TAKAHASHI

DETAILS

カルチャーが交差するネオストリートスタイル

さまざまな年代や国のストリートファッションシーンで常に主役であり続けてきたMA-1。HARAJUKU BEAMSでは2020年のストリートスタイルとして、従来とは異なるイメージを表現します。インナーにはスポーティなスウェットのセットアップを。しかし、スウェットならなんでもいい訳ではなく、品質にはしっかりこだわるのがポイント。シルエットが美しい〈LES TIEN〉のセットアップをジャストサイズで上品に、トップスはボトムスにハイウエストでタックインします。
足元もスニーカーではなく、クラシカルなビットローファーを合わせることでドレッシーな印象を高めました。また、バケットハットとソックスをホワイトで揃え、ゴールドネックレスとローファーのビットのマッチングは80年代のブラックカルチャーを連想させます。一見交わりそうにないカルチャーやアイテムをミックスすることにより、懐かしさの中に新しさを生み出します。

定番アウターを新鮮に着こなす上級テクニック

これってMA-1?という違和感は、上下逆さに着せつけているから。裏がレスキューオレンジのリバーシブル仕様のMA-1をひっくり返す人はいても、こうやって着る人はなかなかいないと思います。でも、〈BEAMS〉のMA-1はボリュームがしっかりあるので、意外と無理なく着ることができます。ウィメンズのボレロのようなフォルムが面白く、印象もがらりと変わります。このアイデアは、昔ヴィヴィアン・ウエストウッドのパートナーだったマルコム・マクラーレンの「表も裏も、上も下も関係ない」という言葉から影響を受けています。
MA-1を際立たせるために、ドッグイヤーカラーのブルゾンとシューカットパンツはベージュのワントーンに。イメージは映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の登場人物にいそうな雰囲気です。中に着たゼブラ柄のシャツも同系色だとすんなり馴染みます。チャレンジングに見えてじつはシンプルなスタイリングなので、ぜひ実践してみてください。

80年代に活躍した
伝説的スタイリストへのオマージュ

BUFFALOというクリエイティブ集団を率いた伝説的スタイリスト、レイ・ペトリ。80年代にロンドンで活躍した彼は、今では当たり前になったハイファッションにスポーツアイテムをミックスした先駆者。その自由で斬新なスタイリングは、当時とても衝撃的でした。そんなレイが好んで着用していたMA-1を、リスペクトを込めてスタイリングしました。
アウターにはMA-1もすっぽりおさまる〈ROTOL〉のオーバーサイズのシェルパーカを。背中のベンチレーションは全開にして内蔵したリフレクターを見せ、袖口や裾のストリングスを絞ってシルエットに変化をつけるのもポイントです。〈GRAMICCI×BEAMS〉のパンツは、大きめのLサイズをハイウエストで穿いて細めにロールアップ。タートルネックに合わせた白いソックスは、ルーズソックスのようにくしゅっとさせます。よりらしさを演出するために大きなキャスケットを被っていますが、ポークパイハットもおすすめです。

B-15シリーズの流れを汲んで1950年代に登場したMA-1は、1978年代まで生産されました。登場以来、約30年間、多くのパイロットに使用されてきたことからもその完成度の高さが伺えます。ファーストモデルのスペックMIL-J-8279からMIL-J-8279Fまで計7回もの改良が重ねられましたが、レスキューオレンジの裏地は5番目のMIL-J-8279Dで採用されました。レスキューオレンジのリバーシブル仕様は、非常時にパラシュート降下した際に森林でも味方に発見されやすいように考案されたものです。
BEAMSのMA-1は、このDタイプをベースにモディファイして製作しています。中綿はより薄く保温性の高いサーモライト®️マイクロを使用することで優れた着用感とイージーケアを実現。アームと身幅のシルエットを大きくすることで、現代的なサイズバランスに仕上げました。オリジナルのイメージを損なわないように腕に沿うカーブ袖、太番手のステッチングでパッカリングを出すなど細部までこだわりました。

  • やや太めに設定したアーム。シガレットポケット、ステッチワークによるパッカリングも本格的。

  • レスキューオレンジの裏地。リバーシブル仕様とは謳っていないが着用は可能。

  • ボタン付きのスラッシュポケットはDタイプまで。Eタイプ以降はフラップが付く。

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ITEM 03
GERMAN ARMY CARGO PANTS

ITEM 03 :
GERMAN ARMY CARGO PANTS
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HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

LAMBDA TAKAHASHI

DETAILS

カーゴパンツのサイズ別スタイル案①
~Mサイズ編~

USミリタリーとは異なる洗練された魅力を持つユーロミリタリーがベースのカーゴパンツ。そのクリーンなムードを活かすため、パンツの色に合わせたワントーンコーディネートでまとめました。パンツはジャストで穿けるMを。ノークッションでシューズにかかるくらいのレングスに腰位置で調整します。
アウターとインナーは〈AURALEE〉で、シャギー調のアウターで素材のコントラストを付け、シンプルになりすぎないようにアクセントを加えました。一方のインナーは、裾にクッションを作りながらタックインしてメリハリをつけ、ナローなベルトで品のよさを引き立たせます。言うまでもなくこのパンツはカーゴポケットが一番のポイントなので、選ぶトップスは短めの丈にしてディテールがしっかり見えるように意識しましょう。シューズは〈Clarks〉に別注したインサイドアウトデザインが特徴のデザートブーツ。トーンもさることながら、ミニマルな表情がスタイリングにぴったりです。

カーゴパンツのサイズ別スタイル案①
~Lサイズ編~

ドイツ軍のミリタリーパンツをベースとしたモデルですが、あえて90年代のストリート風のアメカジスタイルに。アメカジの場合は、ちょっとルーズに穿く方がしっくりくるのでサイズはL。ウエスト位置を低く腰穿きし、裾にワンクッション作ることを意識しましょう。
また、今回はスタイリングでも90年代にも人気だったアウトドアブランドやアイテムなどを随所にミックスしています。バッグを背負ったり斜めがけすると肩を抜いて着た〈Colombia×BEAMS〉のブルゾンのシルエットが崩れてしまうので、カバン代わりに大きなポケットが付いた〈MOUNTAIN RESEARCH〉のキルティングベストを。ベストの裾からチラッと見えているマルチボーダーのスウェットも90年代に流行ったアイテムです。スニーカーは私物の90年代の〈TEVA〉ですが、原宿店で販売している〈SALOMON×BEAMS〉や〈SUICOKE〉の“SGY01”もいいと思います。足元には多少ボリュームある方がバランスいいですね。

カーゴパンツのサイズ別スタイル案①
~Sサイズ編~

カーゴパンツのユニフォーム要素をピックアップし、上品なワークスタイルに仕上げてみました。裾はノークッションでくるぶしが見えるレングスにしたいのでサイズをSに。ただ、体型にも個人差があるので無理をせず、自分に合うサイズを腰位置で調整したり、短めに丈詰めしてください。
着こなしのポイントは、太畝コーデュロイジャケットの中に着たエプロン。イメージはヨーロッパにいそうな靴磨き職人風のスタイルです。エプロンってちょっとハードルが高めですが、レイヤードの一要素と考えると使いやすいと思います。今回はワークを意識してオーバーオール感覚で着せつけました。ソックスは〈AURALEE〉のシューズに色を揃え、抜けを作るために少しルーズに履きます。アースカラーのグラデーションを活かし、フーディーやニット帽には相性のいい暖色系を。上品なユニフォーム感が肝なので、センタークリースは絶対にキープ。そこはこだわりましょう。

ユーロミリタリーのパンツは、アメリカのものと比べて細身のシルエットで、無骨さを程よく抑えたスタイリッシュなデザインが多いのが特徴です。今シーズンのBEAMSは、ドイツ軍のカーゴパンツをピックアップし、スラックス調にモディファイしました。本来のモデルではモールスキンが使用されていることが多いのですが、カラーリングを踏襲しながらポリエステルウールツイルに置き換え、クリーンな雰囲気とミニマルなポケットワークがさらに引き立つように仕上げています。素材変更の利点は軽量でタフ、そしてシワがつきにくいこと。軍物本来のルックスとディテールはそのままに現代的解釈でアップデートしています。
シルエットはウエストや太腿周りのボリュームを微調整し、裾に向かって緩やかにテーパードするジャストレングス。ウエストに合わせるとヒップ周りがタイトだったり、レングスが長すぎるといった古着でありがちなサイズ選びの難しさを解消しました。

  • マチなしのカーゴポケットはミニマルな表情が魅力。

  • 裾の仕上げはシングルでフォーマルなパンツをイメージ。

  • 腰裏はスラックス仕様に。細部のこだわりも大事。

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ITEM 04
DENIM N-3B FLIGHT JACKET

ITEM 04 :
DENIM N-3B FLIGHT JACKET
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HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

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DETAILS

70sエッセンスを取り入れた
現代版デニムオンデニム

2020年春夏のシーズンテーマ、“ALTERNATIVE COWBOY”で提案していた70sエッセンスは、今シーズンも継続して表現していきます。70年代といえば、デニムオンデニムのスタイルがファッションとして認知され始めた頃。当時はGジャンとデニムパンツの組み合わせでしたが、今回は〈BUZZ RICKSON’S〉のデニムN-3Bとデニムパンツでスタイリングしました。
パンツは〈VAPORIZE×Wrangler〉のリジットデニムのシューカットで、やや短めのレングスにすることで裾の広がりを強調。インナーにはタイダイ柄のスウェットを合わせ、さらにイメージを膨らませます。足元はウエスタンブーツではやり過ぎた印象になってしまうので、ポインテッドトゥ気味のセンターシームバックジップブーツに。セオリー通りならネイティブアメリカンジュエリーで仕上げたいところですが、ここはあえてビーズネックレスをチョイスして重ね付け。より今っぽく、首元を個性的に彩ってくれます。

デニムスリーピースで作るウエスタンフォーマル

カウボーイのフォーマルウエアをテーマに、BEAMSが作ったN-3Bのスタイリングをベースにアレンジしてみました。パンツは同じですが、トップスにはデニムジャケットを合わせてセットアップにし、70年代のエッセンスを取り入れたデニムのスリーピースに。中に着たヴィンテージの〈McGregor〉の開襟シャツは、トップボタンまで留めてレザーのリボンタイを締めます。シューカットパンツはややハイウエスト気味に穿いてブーツがしっかり見えるように。足元はさらっとさせずに、ウエスタンのリングブーツをモディファイした〈VAPORIZE×SENDRA〉のブーツで無骨さを演出します。
ベルトを見てもらうとわかると思いますが、小物はすべてブラック×シルバーに統一しています。細かいポイントですが、シャツのバンダナ柄もN-3Bの配色からピックアップし、色数を整理しています。スーチングスタイルの場合でも色数を整理すると引き締まるのでおすすめです。

グラムロックとモードを融合させた
超絶スタイリング

このN-3Bの着こなしについては、かなりエッジィに振り切った表現にトライします。イメージは70年代のイギリスのグラムロックスタイル。インナーの〈VAPORIZE×FARAH〉のブルゾンは、ブラウンのホップサック生地に水色のステッチを利かせた70Sライクな一着。そして他のアイテムはすべて赤で攻めてみました。モックネックのダメージセーター、サイドにゴールドの側章があしらわれたユーズドの〈Dickies〉のカットオフパンツ、装飾が施されたベルト、トウのスチールが特徴のブーツを合わせました。
ラフ・シモンズが手掛けていた〈CALVIN KLEIN 205W39NYC〉の初期コレクションを彷彿とさせるモードさもあって、一見かなり奇抜そうに見えますが、アイテムを一点一点見てみるとほぼリアルクローズで構成しているのもポイントです。本当は原宿にこうゆう人が現れたらお洒落だし面白いと思いますが、黒やブラウンに色を置き換えるとリアルに成立するスタイリングだと思います。

マイナス10℃〜マイナス30℃の寒冷地における防寒性を追求し、パイロットではなく搭乗員用や地上作業員用として活躍したN-3B。MA-1をはじめとするナイロン製フライトジャケットの中でも人気モデルのひとつです。このデニム素材のN-3Bは、1950年代に優秀な腕前を持っていたコントラクターが民間に流通させた史実に基づいて〈BUZZ RICKSON’S〉が忠実に再現したもので、ディテールは流石の本格仕様。ナイロンと比較すると軽量ではありませんが、デニムならではのタフさと経年変化を楽しめるのが魅力です。
70年代スタイルの勢いが増すとともにデニムウェアの需要が高まっていますが、アウターはGジャンやカバーオールといった軽めが多く、BEAMSでは防寒できる数少ないデニムヘビーアウターとしてピックアップしています。古着屋でもなかなかお目にかかれないレアモデルでブランドから不定期にリリースされるため、その稀少性の高さも男心をくすぐります。

  • 風の侵入を防ぐリブ内蔵型のカフス。グローブと合わせたら完璧。

  • シガレットポケット、ハンドウォーマーポケット、三角タブの補強がついたフラップポケットのセットはN-3Bの顔。

  • グローブをしていても開閉しやすいレザープルタブ付きファスナー。

  • N-3Aまで外側に配置していたドローコードはN-3Bから内側に。

  • フードのフィッティングを調整できるアジャスターベルト。

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ITEM 05
3 WAY BDU JACKET

ITEM 05 :
3 WAY BDU JACKET
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HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

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DETAILS

ポスト・コーチジャケットのスケートスタイル

スケーターの王道アウターといえばコーチジャケットですが、HARAJUKU BEAMSはBDUジャケットをスケートスタイルの新定番として提案します。その理由は、ポケットが多くてバッグを持つ必要がなく、3WAY仕様で気温調整が簡単、一着持っていれば長いシーズン着用できること。もし転倒してダメージができても結果的にそれがいい味出しになり、ボロボロになればなるほどカッコよさが増すのもミリタリーアウターならでは。まさにスケーターにとって嬉しい条件をクリアしているのです。
インナーは玉虫調のムラが特徴の〈ROTOL〉のフーディ。スケーティングの邪魔にならないように太畝のコーデュロイパンツは半端丈にして穿きます。裾から覗くソックスは〈POLO RALPH LAUREN〉に〈BEAMS〉が別注したもので、2色揃えれば左右の色違いを狙ったネガティブ履きも楽しめます。足元は〈VANS〉の『OLD SKOOL』のブラックで締めていますが、差し色になるビーニーは自分が好きな色を選びましょう。

90sストリートスタイルを目利きで格上げ

90年代ストリートを踏襲した一見普通そうなスタイルでも、一つ一つのアイテムにこだわりを表現すると格が上がります。BDUジャケットのインナーは〈WALES BONNER〉のベースボールシャツで、ストリートブランドにはなかなか出せないデザイン性の高さと品の良さで差をつけます。また、ギンガムチェックとジャケットのオリーブが補色になっているのもポイントです。
ボトムスはワイドシルエットのコーデュロイパンツを〈POLO RALPH LAUREN〉のチノパン感覚で。90年代の古着でもいいですが、色とシルエットがいい自分サイズを探すのは大変。この〈VAPORIZE〉のパンツはそんな悩みを解決してくれるおすすめの一本です。腰を落としてちょっとルーズに、裾はワンクッションを作って穿きましょう。さらにバインダーネックのTシャツ、ポークパイハット、メッシュベルト、〈Clarks〉の『Wallabee』など、厳選した90年代的アイテムを盛り込みます。靴とベルトの色を揃えることも忘れずに。

レジェンドスケーターから学ぶ
スタイルを生む方法

西海岸にいるハードコアなスケートスタイルを想像しながら着用する人物像を設定しました。イメージは伝説のスケーター、マット・ヘンズリー。モッズやスキンズといったカルチャーをスケートスタイルに取り入れた人物です。今回は彼のスタイルの特徴でもあるカスタマイズしたミリタリーアイテムをピックアップし、BDUジャケットにヴィンテージのピンズを付けました。新品のソリッドなジャケットですが、古着くらい自分の味が出るまでしっかりと着倒しましょう。
フーディーとバンドTシャツはボロボロのヴィンテージを。とくにプリントTは個性を表現する名刺代わりだと思うので、自分の好きなものを選んでください。見た目はルーズでも譲れないポリシーを持つキャラクターを演出するため、スキニーシューカットパンツにTシャツをタックインし、ソックスはピシッと履きました。これはあくまで参考例で、自分らしいポリシーを貫き続ければ独自のスタイルが生まれると思います。

BDUとは、BATTLE DRESS UNIFORMの略称。アメリカ陸軍や海軍など、様々な部隊に支給され、同じ型でオリーブ、ベージュ、カモフラージュなど多種多様なカラーが存在します。また、1981年から2001年まで採用されたウッドランドBDUは、長年に渡ってアメリカ全軍で使われた戦闘服の一つ。当時のアメリカ軍の行動地帯はジャングルなどが多く、グリーン系の迷彩が採用されていました。珍しいモデルでは、1997年のわずか1年のみ生産された特殊部隊用のブラックがありました。
〈BEAMS〉のBDUジャケットはシルエットをワイドショートに変更し、オリジナルには付いていない脱着式のキルトライナーをドッキングした3WAYブルゾンにアップデート。単品着用もできるライナーは、ただ保温性を高めているだけでなく、アウターよりも着丈を長めに設定することで、一枚でも重ね着をしているように見えるのもポイントです。

  • 袖丈、着丈ともにアウターよりもキルトライナーを長く設定している。

  • ライナーは単品着用できるようにフロントがボタン留めになっていて、パッチポケットが付く。

  • 両サイドの胸と腰にはマチがついた大きめのパッチフラップポケットで収納力を。

LAMBDA TAKAHASHI
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ITEM 06
M-65 DOWN COAT

ITEM 06 :
M-65 DOWN COAT
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HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

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カジュアルにアップデートした現代版モッズ

スーツやクラシックなジャケットの上にM-51フィールドパーカを羽織ったモッズスタイル。50年代後半から60年代のイギリスのモッズカルチャーを現代版に置き換え、よりカジュアルに取り入れられる着こなしを表現してみました。まず、フィールドパーカを本家のM-51からM-65に。〈BEAMS〉のM-65の特徴は、本来付いている脱着式フードとライナーをなくし、750フィルパワーダウンを搭載したダウンコート仕様。また、ステンカラーコートやトレンチコートに使われる玉虫色のシャンブレーツイル素材の上品な表情も魅力です。
カジュアルさを演出するため、イージーサイズのジャケットにはシャツではなく〈GIMME FIVE〉のプリントTシャツを合わせました。また、シルエットにメリハリをつけたいのでTシャツはタックインし、ダブルピンのベルトでアクセントをプラス。足元にビットローファーを合わせ、トップスのカジュアルな印象とバランスを取るのもポイントです。

街で着るODワントーンコーディネート

オリーブドラブのワントーンコーディネートは、どうしてもミリタリーっぽくなってしまいがち。結構ハードルが高い着こなしですが、アウトドアスタイルをベースにしながらリアルなタウンユースに昇華してみました。M-65は動きが出るようにサイドのファスナースリットを全開にして肩をやや抜き気味に。中には〈ROTOL〉のナイロントラックスーツを合わせ、襟と裾からはシャツのブラックウォッチ柄を利かせます。特徴的な玉虫色のフィールドパーカに、素材と色でコントラストをつけながらグラデーションを意識して重ねていくのがポイントです。
また、ソックスはタイダイ柄とカモフラージュ柄を重ねてパンツの裾をソックスインします。二枚重ねることで防寒性が増し、足首とふくらはぎの細さのギャップをなくすだけで足のラインが綺麗になって全体がまとまります。〈SALOMON×BEAMS〉のスニーカーを合わせ、足元にもパフォーマンス力を備えました。

70sヴィンテージで拡張したモッズの新解釈

BEAMSが提案した現代版モッズスタイルを、ヴィンテージアイテムに変更して再構築しました。M-65とローファーは一緒で、他はすべて私物です。個人的に最近は70年代ヴィンテージが狙い目で、〈GUCCI〉やNYハーレムのテーラー「DAPPER DAN」のようなスタイルが面白いと思っています。デニムジャケットは今の主流のオーバーサイズやリラックスフィットではなく、ウィメンズくらいタイトで大きなラペルが特徴です。
Tシャツは〈WORLD’S END〉のオリジナルで、マルコム・マクラーレンがプロデュースしていたBOW WOW WOWのバンドTです。Tシャツのネックはきゅっとしまっている方がいいと思います。センタークリースが入ったハウンドトゥース柄のパンツは70年代の〈Lee〉で、シューカットよりも裾をややフレアに。そして、モッズといえばヴェスパやランブレッタといったスクーターカルチャーも切り離せません。座ったときのソックスの見え方までこだわると、スタイリングの完成度がさらに上がります。

極寒用野戦パーカであるM-51の後継モデルとして採用されたM-65。表地は厚手のサテン地から軽量で丈夫なコットンとナイロンのオックスフォード織りに変更され、ディテールも身頃と一体だったフードが脱着式になっています。〈BEAMS〉ではM-65のディテールを盛り込みながらフードとライナーをなくし、750フィルパワーダウンを使用したダウンコートを製作。ダウンが入ったことでオリジナルよりも温かくて軽い仕上がりになっています。
また、表地には玉虫色に見えるシャンブレーツイルを採用し、ステンカラーコートやトレンチコートのような光沢感のある表情になり、ミリタリーアイテムの野暮ったさを上品に中和しました。さらに“セタミック®︎”加工を施すことで耐洗濯性に優れた撥水効果を実現。両脇にファスナースリットを配し、フロントを開けたりコートを脱いだりすることなくスムーズに着席ができ、パンツポケットのアクセスも容易になっています。

  • ライニングには750フィルパワーダウンを使用している証がプリントされている。

  • M-51から継承したフィッシュテールの仕様。前身頃と後身頃の裾からから出たコードを股の下で結び、温かい空気を密閉。

  • サイドに入れたファスナースリットで着席やパンツポケットへのアクセスがスムーズに。

  • 本来ある脱着式フードをなくし、スタンドカラーに変更。

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ITEM 07
N-2B FLIGHT JACKET

ITEM 07 :
N-2B FLIGHT JACKET
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HARAJUKU BEAMS

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N-2Bで作るグランジスタイル案①

ファッションシーンに定着しているグランジスタイルですが、昨今のアメカジ熱の高まりを見るとますます無視できません。そこで、再び注目を集めるユースカルチャーの着こなしを、HARAJUKU BEAMS的解釈で提案します。アウターはボリュームを持たせながら現代的なアレンジを施したN-2Bです。インナーにはその存在感に負けないアニマル柄のレイヤード。柄同士の色を寄せるとスッと馴染みます。よりグランジらしい退廃的なムードを演出するために〈STYLE EYES〉のコディアックのレースを緩めたり、シャツのボタンを外してルーズに。
パンツは〈OLD PARK〉のリメイク感のあるアイスブルーデニムを合わせ、細身のシルエットでトップスとメリハリをつけました。足元の〈Dr. Martens〉の8ホールブーツは、ヴィンテージライクな雰囲気を持つUKメイド。シルエットはもちろん、レザーの茶芯も英国製ならではのポイントです。〈CONVERSE〉の『ALL STAR』のようにシューレースをギュンギュンに締めて履きましょう。

N-2Bで作るグランジスタイル案②

90年代頃、僕がコーディネートの参考にしていたのは映画の登場人物。とくにマット・ディロンの『シングルス』、『アウトサイダー』、『ランブルフィッシュ』のスタイルが好きで、当時はコスプレしながら着こなしを勉強していました。90年代のグランジスタイルでいえば、多くの人が一度はカート・コバーンの格好を真似したんじゃないでしょうか。昔も今もファッションシーンにおける影響力は計り知れません。
今回はそのグランジの象徴に寄せたスタイリングで、〈NEEDLES×BEAMS〉のクレイジーバターンのモヘアカーディガン、古着の〈B I G M A C〉のヘビーネルシャツ、パッチワークが施されたヴィンテージの〈Levi’s〉『606』、80年代の当て布付きの〈CONVERSE〉『ALL STAR』を合わせました。N-2Bをメインアイテムにしていますが、エイジングやカスタマイズされたものを差し込むことでグランジ感を演出しています。ちなみにTシャツはSONIC YOUTHのフォトプリントで、リンガーTは最近のマイブームです。

N-2Bで作るグランジスタイル案③

モードブランドをストリートスタイルにミックスし、グランジのムードを残しながらユース感を表現してみました。ボーダーのモヘアセーターは、今シーズンの〈RAF SIMONS〉。ウエストをベルトでブラウジングしてアクセントをつけました。中はタイダイ染めのPINK FLOYDのタイダイ染めのバンドTシャツで、パンツは以前「インターナショナルギャラリー ビームス」で購入した〈TA CA Si〉のもの。ウールのワイドパンツの裾をあえてズルズル引きずって歩くとユース感が出てかっこいいと思います。
さらに〈Supreme〉のチューリップハットやチェッカーフラッグの〈VANS〉の『ERA』でアクが強いアイテムをプラス。一見めちゃくちゃな組み合わせも狙い通りで、色味を整理しているのでしっかりまとまります。N-2Bの着せつけポイントは、肩を抜かずにむしろ前がかり気味にすること。肩の位置を調整するだけで印象が変わるのと、ちょっぴりモードな雰囲気になります。

第二次世界大戦終結後の1945年、アメリカ陸軍航空隊が開発したN-2。B-3の後継モデルにあたり、コクピット内での機動性を重視したため、防寒性に特化したN-3に対して着丈を短くしました。また、それまで類を見ない大型のフードは、ヘルメットを被ったままの装着が考慮されています。陸軍航空隊が空軍として独立すると、そのシンボルカラーであるエアフォースブルーを採用したN-2Aに。その後、生地をセージグリーンに変更してN-2Bになりました。
〈BEAMS〉ではよりファッション的に着用しやすく昇華するため、基本的なディテールを踏襲しながら着丈を長く変更し、ビッグシルエットで製作しました。フロントに配したダブルジップの八の字ポケット、内側に大型のメッシュポケットを取り付けることで収納力を大幅にアップデート。中綿には米軍で実際に採用されていたプリマロフト®︎を採用していますが、身頃脇から袖下には薄い中綿を使用し、着用した際のシルエットと着心地を向上しました。

  • 分割式フードのファスナー開けるとまた違った印象に。

  • フロントの八の字ポケットは中で上下に分かれている。

  • MA-1やN-3B同様、左袖にはシガレットポケットを。

  • 内側に取り付けたメッシュポケットで収納力が大きくアップ。

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ITEM 08
BLACK M-51 FIELD PARKA

ITEM 08 :
BLACK M-51 FIELD PARKA
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HARAJUKU BEAMS

LAMBDA TAKAHASHI

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オールブラックでミリタリーをモードに

HARAJUKU BEAMSでは過去にもオールブラックを男の正装として打ち出してきました。今シーズンはそこにミリタリーアイテムを取り入れ、モードなスタイルに仕上げます。メインとなるアイテムは、〈BUZZ RICKSON’S〉の「WILLIAM GIBSON COLLECTION」のM-51フィールドパーカ。ブラックは本来のミルスペックでは存在しない色ですが、本家同様のタフな雰囲気のコットンナイロンを採用し、細部までこだわり抜いた本格仕様です。
光沢のあるベロアのセットアップとモックネックセーターは〈VAPORIZE〉のもので、ブルゾンのゴールドジップをアクセントに。また、モックネックやグローブで肌の露出を最小限に抑えるのもポイントです。全身を黒で統一すると平面的な印象になりがちですが、素材のコントラストをつけることでコーディネートに立体感と奥行きが生まれます。チョーカーのような短めのネックレスやリングブーツ、サングラスなど、小物使いにも気を配ることでモード的なストイックさを表現しました。

細部までこだわったモード的着こなし術

モッズコートはこう着るべき!という固定観念に囚われず、常識を覆していくこともモード的な楽しみ方だと思います。今回はモッズカルチャーの不良性にフォーカスしたスタイルで、90年代から2000年代の〈Yohji Yamamoto〉から影響を受けています。〈HAIDER ACKERMANN〉のパンツは、昭和の不良たちの代名詞でもあるボンタンのようなイメージで腰位置を高く。パンキッシュなモヘアセーターはタックインし、中にはリンガーTシャツを。足元はセーターの色に合わせたボーダーソックスを利かせながら、ヒールの高いハラコのビットローファーでエレガントさをプラスします。そして、サスペンダーをクロス使いにすることでモード色を濃く仕上げました。
M-51の着せつけでこだわったのは、パンツポケットに手を入れたときにいかにかっこよく見えるか。袖口のカフスはセーターを出してから留め、袖に丸みを持たせながらフォルムを作るのがコツ。海外ファッション誌に出てきそうなモードな佇まいを意識しましょう。

ライニングを主役にしたM-51のもう一つの顔

脱着可能なM-51フィールドパーカのライニングを外して外側にレイヤード。これだけで同じアイテムなのにまったく違うコートのように楽しめます。改めてライニングを見てみると肘や脇の可動域がわかり、フィールドパーカの機能面を再認識できます。70年代の古着のようなフェイクスエードとニットで切り替えたトップス、裾にボタンをあしらったニットパンツは〈VAPORIZE〉のもの。メンズでニットのセットアップはなかなか見ないので新鮮です。〈RAF SIMONS〉のキャップはセットアップと同色にし、古着のハイネックボーダーTシャツは差し色に。ハーフジップも今っぽいと思います。
シューズにはモッズが愛用していたデザートブーツを。これは〈Clarks Original×BEAMS〉のインサイドアウトデザインが特徴のモデルです。本当はシューレースを隠したミニマルな表情ですが、スニーカーのようにあえてタンを出してルーズに履きました。裏の裏をかく感じもまた面白いと思います。

M-51フィールドパーカは、第二次世界大戦から発展してきたプルオーバー型のM-48を進化させたもので、朝鮮戦争において主にアメリカ陸軍将兵に支給されました。この戦地は米軍がかつて経験したことのない寒冷地で、通常の装備の上から直用するレイヤーシステムが採用されました。最初期型のシェルは厚手のコットンサテン地でしたが、1952年以降のモデルではコットンナイロンのオックスフォード地に変更。袖口は密封性を高めるためのラバーストラップアジャスターベルトが内蔵され、ポケットの袋地には保温性のあるウールが使用されています。また、M-51はモッズが愛用したことでモッズコートと呼ばれ、現在もファッションアイテムとして根強い人気を誇ります。
〈BUZZ RICKSON’S〉の「WILLIAM GIBSON COLLECTION」のM-51は、ミルスペックには存在しないブラックカラー。脱着式のライナーは〈Patagonia〉のレトロパイルジャケットのような感覚で単品として着るのもおすすめです。

  • ウエストのドローコードで密封性を高めて防寒機能をアップ。

  • M-51の特徴でもあるシェルと一体型のフード。M-65からは脱着式に。

  • クラウンジッパーは、“フライトジャケットの歴史と誇りを追求する”というブランドコンセプトのもと、当時と同じ設備や金型を再現して現代に蘇らせたもの。

  • ブランドのブラックコレクションに付く“William Gibson”のネームタグ。

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