BEAMS、
そして原宿という街がやるべきこと

オルタナティブ。90年代に出てきたこの言葉は、音楽から始まりライフスタイルや旅やファッションを語る上で普通に使われるようになってきたけれど、その意味をちゃんと知る間もなく、いつしか和製英語のように取り込まれてしまった。
 元の意味は、もうひとつの選択、代わりとなるもの。メインストリームの商業ロックやポップスに対して違うアプローチや精神を持つものとして最初に音楽で、特に90年代初頭に広まった。売れ線を否定するインディーズバンド、ジャンル分け不能のごちゃ混ぜロック、服装が音とまったくマッチしていないように見えるフォークシンガー。90年代の面白さはそういう大きいものへのアンチ精神や、違う選択をしようというアティチュードに溢れていたこと。当たり前をよしとせず、自分らしさを突き通す。そしてその根底には無邪気なほど音楽に対しての愛情があった。
 それを自分たちの今に活かせないか? 身の回りにあるものも、流行りで手に入れたものでも、ちょっとした工夫や目線を変えればオルタナティブになる。ファッションのきっかけは他者への憧れと、自分らしく着るという相反する二つのこと。そこから始まった自分なりのファッションを、他人から与えられるものだけではなく自分のものにしていく。ここに並べられた7つのテーマを、それぞれのチームが自分たちなりの解釈の上に作り上げた、本流とはちょっと違う、けれどもそこにリアリティと自分らしさが現れたもう一つの選択肢。そこから世の中が大きく変わっていく中で、一つの流行や、スタイルが正しいわけでは決してない。それぞれが持つ、それぞれの選択を作るベースになりたい。それがBEAMS、そして原宿という街がやることだと思っています。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE COWBOY

  • STYLING: LAMBDA TAKAHASHI (SHIRAYAMA OFFICE)
  • PHOTOGRAPHY: MITSUO OKAMOTO
  • HAIR & MAKE-UP: SHINYA KAWAMURA(mod’s hair)
  • MODEL: ARIEL, TETSU, MATEEN, MARTU
  • SPECIAL THANKS: KENTARO OKUZAWA
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オルタナティブというテーマで〈ビームス〉のオリジナルウェアを中心にスタイリングを組むにあたり、70年代=カウボーイというシーズンの要素をブランドの基盤となるトラッド、ミリタリーを混ぜながら現代的なストリートウェアの解釈を加えたもの。自分が直感で感じる現代のカウボーイを彷彿させるアイテムを軸に、今季のトレンドやシルエットを意識し、ルールから断線しないスタイリングをベースにしながらヤサグレ感やカウボーイユニフォーム感を意識してスタイリングすることで、当時のコスプレにならない現代的なアプローチができたと思っています。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE DANCEMUSIC

  • ART DIRECTION: YOSHIROTTEN
  • DESIGN: JUNPEI INOUE(YAR)
  • STYLING: TATSUYA SHIMADA(TRON)
  • PHOTOGRAPHY: TSUTOMU ONO(ACUSYU)
  • HAIR & MAKE-UP: TAKAHIRO HASHIMOTO(SHIMA)
  • MODELS: YUKI, VIRAL BOY, JAN, ZUTIWO, IROW, ARKHAM
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90年代のレイブカルチャーをベースに、現代に再燃するハードなレイブカルチャーをイメージしたフォトストーリー。ベルリンでのパーティーシーンを撮影してきたオノツトムのドキュメンタリータッチの写真と,今の東京のアンダーグラウンドなシーンでリアルに生息するモデルを起用し、リアルとアンリアルが交差していく。クラブシーンはいつでも制限と閉塞感の中から生まれていきますが、そこに対するアンチテーゼでもあり、その中でもいつも音楽は鳴り続いていく。深夜から朝まで繋がってしまったあのクラブでの時間の止まった感じが、タイトルの「light tunnel」と繋がっています。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE COLLECTABLE

  • Naoya Matsumoto
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ここ数年は家族や地元の景色に興味があり、月に一度は実家のある浜松に帰るようにしています。父親の趣味は流木を集めること。それらを使い、一緒に組み立て、父親世代といえる古着を着せ込む。父親に見立てて撮影したものもある古着たちは、また違った表情を見せてくれたと思っています。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE BLUE

  • YUSUKE YAMATANI
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僕は、出来れば同じ服をずっと着たい。というより、選ぶことに対してものすごく吟味してしまう性格なので、これだという一着を見つけたら、もうそれがいい。デニムは長年連れ添うことが出来る素材なので好きですね。そのタフさ故に、着込むことによって変化し、馴染むということが、デニムそれ自体に時間が内包されているということなので、写真との相性もいいと思います。 写真を撮るという、その“見る”ことと“見られる”ことを身体的に体現するために、特殊なカメラ装置を使用したパフォーマンスに辿り着きました。この装置では、ドラムを叩くことによってドラムセットにつけられた振動センサーが反応し、シャッターが切られる。パフォーマンスでは、ドラムを激しく叩き続けることで自分自身をトランス状態へと誘発させ、カメラと観客を前にして意識と無意識が邂逅したセルフポートレートが撮影されます。写真家の意思や選択を排除した、このパフォーマンスから写真の生産にいたるまでの一連の流れは、介入、編集によって覆い隠される現実世界への反抗であり、オルタナティブなアクションです。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE TOKYO

  • STYLING: Takayuki Tanaka
  • PHOTOGRAPHY: Yuki Hori
  • HAIR & MAKE-UP: Mikio Aizawa
  • GRAPHIC DESIGN: Ryo Mizukami
  • MODELS: Vanya, Evgeny, Urvashi, Noemie, Niki, Rioto, Hiroto
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サイズ感で遊んだり、古着、小物などでコーディネートにノイズ的な違和感を入れても成立しやすいといえるのがドメスティックブランドの強みだと思います。個人的なイメージですが、ストリート以上モード未満といえるような、その立ち位置が面白いバランスだと感じるのです。今回、それらドメスティックブランドのキャンペーンを、ジンとして作るイメージで取り組みました。ユース、ポップさや花、コラージュ、メランコリックに、レインボーを散りばめたアナログ感。それが自分たちの考えるオルタナティブだと思います。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE ATHLETICISM

  • STYLING: Masataka Hattori
  • PHOTOGRAPHY: Tomoyuki Kawakami
  • HAIR: Hori(bNm)
  • MAKE-UP: Michiko Funabiki
  • FAKE TATOO PAINTER: adamuu · kaho
  • MODEL: Loic
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様々なアプローチの仕方があるランニング。その中で、個人で走るということと、その境地というものにフォーカスしました。目的に向かって、走る時の苦悩や障害、チャレンジ、色々な邪念を振り払う脳内や、ランニングハイなど、ランナーのストイックな精神世界をビジュアルに落とし込む。モノトーンのスタイリングを中心にし、実像であるモデル以外は、虚像、合成、ペイントを織り交ぜたフェイクで作り上げながらランニングとは苦しさと楽しさとの表裏一体であることを示しています。

HARAJUKU BEAMS ALTERNATIVE COLLECTIVE

ALTERNATIVE SSZ

  • PHOTOGRAPHY: Kiyotaka Hamamura
  • STYLING: Michio Hayashi
  • MODELS: Michinari Sakaguchi a.k.a Ryuoh, A VIRGIN, Ryuichi Ohira
  • ART DIRECTION: Daisuke Yokoyama
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映画『キッズ』のダボダボとしたストリートスタイルから影響を受けたスケートも、スケートがうまい先輩が着る〈ラルフローレン〉や〈グッドイナフ〉を着て滑る姿に衝撃を受けたのが90年代。これが俺のスタイルだからと話す先輩に、スケートするのには決まりがなく自由だと感じました。スケーターとは「スケートを通して自身を表現するもの」。今回はスケーターのそんな気概、精神を武士道と重ね、根底には90年代が漂うビジュアルを作りました。

INFORMATION

HARAJUKU BEAMS VISUAL BOOK
“ALTERNATIVE COLLECTIVE”

今のBEAMSが見ているトレンド、ディレクターが発信したいスタイルやアイテム、
気分を表現したビジュアルブックを制作しました。
「ビームス 原宿」がオープンした際には、店頭にて商品をご購入して頂いたお客様に
本ビジュアルブックをプレゼント致します。
※数には限りがございますので、予めご了承ください。
また、本サイトでは、誌面の内容を各コンテンツに分け、
毎週金曜日にアップしていきます。
ビジュアルブック、web、ともに「ビームス 原宿」が選択した表現をお楽しみ下さい。
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