次世代を担うバイヤーたちの
”私の好きなモノ”
〈BEAMS F〉バイヤー間瀬、〈Brilla per il gusto〉バイヤー伊井
次世代を担う二人のバイヤーを、好きなモノを通してご紹介します。

〈Brilla per il gusto〉バイヤー伊井(以下、伊井):間瀬さん今日はよろしくお願いします。
〈BEAMS F〉バイヤー間瀬(以下、間瀬):こちらこそ。これまでコンテンツやSNSなどではお互い出ていたけど、改めてこうやって対談的な感じで話すのは初めてかもね。
伊井:そうですね。少し緊張してます(笑)
間瀬:同じく。でも、いつも通りって言われたから、いつも通り緩くいこうか(笑)

間瀬:今回のテーマが『好きなモノ』ってことだけど、いざ言われると意外と難しいよね。
伊井:難しかったですね。なので、あまり深く考えず持ってきました(笑)
間瀬:それじゃあまずは自信ありそうな伊井さんからいく?
伊井:ないですけど(笑)では自分から・・・。
Enzo Bonafe DI COSIMOⅡ

伊井:〈Enzo Bonafe〉のプレーントウ『DI COSIMOⅡ』です。ドレススタッフならまずはこれといった、ベーシックな一足だと思います。
間瀬:間違いないよね。
伊井:すごくドレッシーなシューズなので登場機会自体は少ないのですが、ここぞというときに大事に履いてきたシューズです。それこそ、自分の結婚式の時に買いました。たしか、2017年です。

伊井:一般的にフォーマル=ストレートチップみたいなイメージがあるかもしれませんが、この”DI COSIMOⅡ”は同等かそれ以上のエレガントなムードがあると思っています。切り替えのないシンプルなアッパーに上質なレザーの光沢。上品で、大人らしい足もとに見せてくれます。
間瀬:うん。それでいて重すぎない空気感もあるから、普段のビジネスシーンでもすごく映えてくれる。完成度の高い一足だよね。それにしても、9年履いているにしては綺麗すぎない?

伊井:あんまり履いてないんです(笑)
間瀬:確かに、伊井さんの普段のスタイルだとちょっと堅くて合わせづらいのかもね。
伊井:はい。どちらかというとタイドアップしてビシビシの時の足もとかなと。今日の間瀬さんのような、ネイビースーツに合わせたりすると本当に格好良いと思います。
間瀬:イタリアのシューズだけど、英国ムードな重厚感あるスタイルに合わせてもキリッと馴染んでくれるから、昨今の気分にもマッチして良いよね。
伊井:そうですね。バイヤーになったので、これから履く機会も増えそうです。
間瀬:じゃあ、この流れで自分もシューズをご紹介します。
YUKETEN モカシンシューズ

間瀬:”好きなモノ”ということで、一つはシューズを入れようと思いすごく迷ったのですが、オンからオフまで自分の足もとには欠かせないのがこの〈YUKETEN〉です。
伊井:はい。すごくイメージあります。

間瀬:とにかくこの男っぽい雰囲気が好きなんです。昔からアメリカの”モノ”にはつい惹かれがちで、特にこういったキャンプモックやカヌーモックと呼ばれるようなモカシンシューズはたくさん持っています。
伊井:アメリカもの好きなんですね。イギリスやフランスの印象でした。
間瀬:うん。普段からスーツやジャケットを着ているからよく言われる。でも実は専らアメリカ好き。もちろん、イギリスやフランス、イタリアのクラシックなスタイルも大好物なんだけど、ベースはアメリカンな空気感を大切にしていて。オフのカジュアルな服装の時の方がわかりやすいかも。
伊井:そう言われると結構男っぽいというか、ラフな格好もされてますね。

間瀬:なんかこうキメすぎないような、飾らない感じが自分のスタイルに合っている気がしていて。ドレッシーなアイテムを装う中でも、アメリカの持つ男っぽいムードがあるとちょうど良いハズしになってくれる。
伊井:わかります。〈YUKETEN〉の良さってどこにありますか?
間瀬:〈YUKETEN〉はアメリカを拠点としていながらデザイナーは日本人の方。モノとしてはまさにアメリカのクラフツマンシップそのものなんだけど、どこか日本人らしさというか綺麗な側面も感じられる。だからドレススタイルとの馴染みも良い。品の良い塩梅に収まってくれるところが個人的に惹かれるところかな。
伊井:うん、良いですよね。ちなみにどこで買ったんですか?
間瀬:これは、確かどこかのECサイトだったような・・・。
伊井:間瀬さんもECサイトで買うこととかあるんですね。
間瀬:日頃からいろんなところのアイテムを漁ってるからね。仕事というか趣味みたいなものかな。
伊井:流石です(笑)
J&M DAVIDSON メッシュベルト

伊井:それでは次は自分から。〈J&M DAVIDSON〉のメッシュベルトです。これはビームスに入社してから購入したもので、手元に残っている一番古いものだと思います。10年以上経っていますがいまだに現役。気に入ってよく巻いています。
間瀬:これも名品だよね。
伊井:はい。自分は実はカジュアル志望で入社したんですが、配属はドレス部門。メンズのクラシックというものをあまりよく分かっておらず、アイテムに対してもピンときていない中、これには一目惚れしました。
間瀬:うん。ドレススタッフ以外にも持ってるスタッフが多い印象。

伊井:メッシュベルトってベルトというカテゴリーの中でもカジュアル寄りなところだと思うんですけど、この〈J&M DAVIDSON〉は、ドレッシーなムードも備えているんです。バックルやプンターレなど、男らしいディテールがありながらどこか上品でエレガント。上質な素材使いや細部の作り込みが素晴らしいからこそ出せる雰囲気だと思います。
間瀬:そうだね。特にこのメッシュベルトは編み込みのボリュームが抑えられているから、いろんなアイテムとの相性が良い。意外とバランスが取りやすい一本だと思う。
伊井:実は今日も巻いています。ブラックはもちろん、ダークブラウンの色出しもすごく良いんです。


伊井:メッシュベルトは編み込んでいる性質上、どうしても伸びてしまうのですが、これは購入時からあまり変わっていないと思います。当時先輩から「メッシュベルトは伸びる」と聞いていたのでちょっと心配していましたが、杞憂でした。
間瀬:うん。編み方で変わると思うんだけど、確かに〈J&M DAVIDSON〉は伸びにくいかも。メッシュベルトはどのぐらい垂らすかも重要だからそこも気になるよね。
伊井:そうなんです。垂らし方によって見え方も変わってきますから、合わせるスタイルも変えないといけない。その点このベルトは、レザーの張りとプンターレとのバランスが絶妙で、ちょうど良い垂れ方になってくれます。ちょっと説明が難しいんですが(笑)
間瀬:わかるよ。だからカジュアルだけど上品な雰囲気を醸し出しているんだろうね。
伊井:はい。メッシュベルトが気になっている方にはぜひ一度試していただきたい一本です。
Charles et Charlus レザーポーチ

間瀬:では、自分からはバッグを。〈Charles et Charlus(シャルル・エ・シャルリュス)〉のレザーバッグ。これは実は、26年春夏シーズンからビームスで取り扱いをするブランドなのですが、個人的にも以前から愛用している一品です。
伊井:間瀬さんバイイングってことですね。
間瀬:いや、そういうことではないんだけど(笑)ただ、思い入れがあるのは間違いないかな。

間瀬:〈Charles et Charlus〉は1975年創業のフランスのブランド。メゾンの下請けも行っていたほどで、その技術力は折り紙付き。華美なエレガンスというよりも、フランスらしいシンプルで洗練されたスタイルが特徴的だね。
伊井:このバッグも装飾やギミックなどほとんどないですね。
間瀬:うん。限りなくシンプルに仕上げているから、ものづくり、素材の良さがいっそう引き立ってるよね。ちなみに、このグレインレザーはこちらから指定させてもらっていて、ブランドがよく使用しているものよりも柔らかくてしなやかな革を載せてる。
伊井:たしかに。サンプルからもうクタクタで、手にしっとり馴染みますね。
間瀬:そう。ブランド側からも良いセレクトだねって言ってもらえたよ。あと、サイズ感も絶妙で。クラッチバッグやドキュメントケースよりも柔らかな印象のポーチ型のこの形は、サイズ感がちょうど良くて普段使いにすごく重宝してる。


間瀬:さっきのモカシンシューズでも話したように、スタイリング全体で見たとき、畏まっていたりキマり過ぎているより少し抜け感のある柔和な雰囲気の方が個人的にはしっくりくる。だから、今日のスーツスタイルにもかっちりとしたバッグよりこのぐらいの軽快感があった方が何か良いんだよね。丸みを帯びた柔らかな見た目ながら、上質なレザーの品の良い雰囲気も持っている。その塩梅がすごく心地良くて。ちなみに、前回の展示会でこの2色は個人分ですでにオーダーしてる。
伊井:一気に2色買いですか?
間瀬:うん。そうだね
伊井:流石です(笑)
ARC’TERYX シェルジャケット

伊井:ちょっとドレスからはずれてしまうのですが、次に紹介したいアイテムがこちらです。〈ARC’TERYX〉のシェルジャケット。主にオフスタイルで着ているカジュアルジャケットで、子育てには本当に欠かせない一着ですね。
間瀬:そうだよね。伊井さんはこう見えて3児のパパだから。
伊井:はい。全員男の子で、本当に大変なんです・・・。まぁそれ以上に可愛いんですが。

伊井:この〈ARC’TERYX〉の良さは、何より軽くてタフなところ。動きも制限されませんし、GORE-TEX(R)でどんな天候にも対応してくれます。フロントを閉めると意外にも暖かいので、少しの寒さぐらいならこの一着で済みます。無駄のない洗練されたルックスも都会的で、ラフなコーディネートでもサマになるんです。
間瀬:うん。アウトドアなアイテムだけど、アーバン的な要素も含んでいるよね。それにしてもバイヤーに子育てに本当にすごい。ちなみに、オフィスには着てこないの?

伊井:バイヤーになるまではカジュアルな装いも多かったのでよく着ていましたが、最近はほとんど着ていないですね。もう少しミックスが上手くできるようになったら着てこようと思います。
間瀬:要するに、慣れたらいけるかなってことね(笑)
伊井:いえ、決してそんなことは(笑)
調味料、スパイス

間瀬:基本的に食に関して強いこだわりがあるわけでもなく、グルメでも何でもないのですが、調味料やスパイスには少し気を遣っています。日頃からネットやアンテナショップを良く見ていて、気になったものはつい購入してしまうほどです。海外出張の時は必ずと言っていいほど、現地のものを買ってきますね。
伊井:意外です。料理もするんですか?
間瀬:適度にはするけど、そんなに凝ったものはできないかな。
伊井:でも調味料にはこだわりがあるんですね。
間瀬:そう。昔からなんだよね。最近ではビームス ライフ 横浜でフードの取り扱いがあって、そこでもたまに買ってるよ。
伊井:自分も気になってたんですよね、この胡椒。

間瀬:良いよね。一般的なものよりもグッと香りが濃くて。パンチがあるからほんの少しでも深みを出してくれる。
伊井:これはトリュフですか?
間瀬:そう。これは確かイタリア出張の時に買ったのかな?黒トリュフを削って使うんだけど、これも香りがすごい。そんなに高くないか今度買うといいよ。
伊井:ぜひ。出張の際また教えてください。
Stile Latino ネイビーダブルブレストジャケット

伊井:次にこちらです。〈Stile Latino〉のネイビーダブルのジャケット。これがきっかけでドレスクロージングにのめり込んだと言っても過言ではないぐらい、自分にとっては印象的な一着です。
間瀬:そうなんだ。でも〈Stile Latino〉は伊井さんのイメージあるかもね。

伊井:このジャケットが自分にとっては初の、所謂高級インポートというもので、まだ20代前半でしたし、購入時は緊張していたのを覚えています。
間瀬:そうだよね。うちのスタッフは年齢関係なくいくからね(笑)でも、確かに当時のドレススタッフにとって〈Stile Latino〉は一つの憧れでもあり、マスターピース的存在でもありというか。
伊井:はい。まずはネイビージャケットをと思っていたところ、この一着に出会いました。

伊井:イタリア的かつモダンな色気を漂わせる圧倒的な存在感は言わずもがな、何よりその着心地の良さが本当に素晴らしいです。身体にジャストにフィットし、美しい曲線を描くシルエット。それでいて窮屈感は一切なく、着ている重さを感じない。先輩に一度袖を通してみると分かるよと言われたのが最後でした(笑)
間瀬:うん。〈Stile Latino〉は本当に着心地が良いよね。雰囲気あるルックスが注目されがちだけど、真の魅力は着て初めて分かる。自分も最初は驚いた記憶がある。
伊井:はい。最近の気分ではややタイトに感じることもあるのですが、都度お直しを入れたりして大切に着ています。ベーシックなネイビージャケットなので、これから共に歳を重ねていけるのも楽しみです。
SARTORIA LUCOLT ダブルブレストスーツ

間瀬:それじゃあこの流れで自分は日本のものを。〈SARTORIA LUCOLT(サルトリア ルコルト)〉。イタリアのサルトで修行された小澁さんが作り上げる、日本は岡山発のビスポーク。今回縁あってご紹介いただけて、さっそく一着仕立ててもらいました。
伊井:初めて伺ったブランドです。どういった作りが特徴なんですか?

間瀬:ベースはイタリアのものづくりなんだけど、日本人らしい緻密さや柔らかな空気感が伝わってくる美しい仕上がり。その技術力は然ることながら、個人的には小澁さんの人柄や美学のようなものに惹かれていて。「お客様とずっと一緒に歳を重ねていける服を仕立てることができたら」と、こちらに寄り添って意図を汲み、細かなニュアンスまで表現してくれる。この一体感がすごく心地良いんだよね。インポートだと、言葉の壁やお国柄のようなものがどうしても影響してしまい、ピタッと完全に意図を伝えるのは難しい。もちろん、そのニュアンスを楽しむことも一興だけど、理想をそのまま形にできるというのはやはりたまらない。
伊井:確かに。インポートはそこが難しいですよね。それにしてもこのスーツ、なかなかない色です。どこの生地ですか?
間瀬:これは〈BATEMAN OGDEN〉。深いブラウンにワインをミックスしたような色出しがあまりなくて良いかなと思って。
伊井:洒落てます。ゴージも低くて、クラシックな顔つきですね。

間瀬:そうだね。少し重心が下がっている4つボタンダブルで、フロントダーツなしの後ろはノーベントのスタイルを踏襲してる。パンツはシンプルにツーアウトプリーツでベルトループ付き。ただ、少しこだわりがあって、ウエスマンの芯を通常より固くしてもらっているんだよね。英国のトラウザーズにもよく見られる仕様なんだけど、個人的にこの方が好きで。こういった既製品ではあまり見られないようなディテールをお願いできるのもビスポークの良さだね。
伊井:どうやって合わせるイメージですか?
間瀬:実は、仕上がってからまだ一度も着られていないのだけど、まずはやっぱりタイドアップしたいかな。これから気温も上がってきそうだし、コーディネートを考えるのが楽しみだね。
ビカクシダ

伊井:では自分からはこれで最後です。好きなモノというよりも、最近ハマっていると言った方が近いのですが、ビカクシダ(コウモリラン)というシダ植物です。
間瀬:結構意外なところからきたね(笑)
伊井:編集担当に服以外も入れろと言われまして(笑)ただ、本当にハマってまして、この写真以外にも数株あります。
間瀬:そうなんだ。基本室内で育てるの?

伊井:自分は室内で育てていますが、屋外でも育てられるみたいです。ただ直射日光が良くなかったり温度管理も大切だったりするので、屋外だと難しくて。最近ではライトも導入してきっちり育てています。
間瀬:すごい。本格的だね。どこで買うの?
伊井:新横浜にビカクシダ専門の農園があって、そこで購入することが多いです。始めはインテリア兼ねて、みたいなところも正直あったのですが、最近では愛着が出てきてすごく可愛いんですよね。
間瀬:良いよね。ちょっと自分もその世界覗いてみようかな。
伊井:ぜひ。案内します(笑)
多治見焼き

間瀬:自分も洋服以外で一つ。ここ数年、ずっと集めているものがこの多治見焼きです。
伊井:聞いたことあります。
間瀬:うん。岐阜県東部の東濃地方で作られる陶磁器、美濃焼の一部で、その伝統的な魅力はもちろんどこかモダンな空気感もあって。
伊井:昔から陶磁器が好きなんですか?

間瀬:そういうわけではなく特に詳しくもないんだけど、きっかけはプレスにいた時にMR_BEAMSの撮影で目黒の『Complex Universal Furniture Supply』というお店に行ったことかな。そこに多治見のマグカップやフラワーベースが置いてあってすごく綺麗で。
伊井:確かに。シンプルですけど、存在感ありますね。
間瀬:そう。クラフツマンシップを感じさせる温かさに特有の深みあるデザイン。しかもミッドセンチュリーモダンの時代にアメリカ輸出向けに生産されて、岐阜県土岐市の倉庫で約50年間眠っていた貴重なデッドストック、とか言われるとやっぱり惹かれるよね。
伊井:間瀬さんどストライクそうですね。
間瀬:だから見かけたらついつい手が伸びてしまう。もうだいぶ集まってきたかな。
伊井:では人もたくさん呼べますね。
間瀬:いや、それは大丈夫(笑)

Profile
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〈BEAMS F〉バイヤー
間瀬 裕介 Yusuke Mase
〈BEAMS F〉バイヤー
間瀬 裕介 Yusuke Mase
1990年栃木県出身。大学を卒業後、2013年にビームス入社。ビームス銀座、ビームス 六本木ヒルズ、ビームスF、ビームス ハウス 丸の内にて販売を経験。その他プレス、Eコマース部門を経て、現在は〈BEAMS F〉バイヤーを務める。私生活はあまり公開していないが、90年代から2000年代初期のドラマ好きで、その話題については誰よりも熱弁するという一面あり。
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〈Brilla per il gusto〉バイヤー
伊井 優一朗 Yuichiro Ii
〈Brilla per il gusto〉バイヤー
伊井 優一朗 Yuichiro Ii
1992年北海道札幌市出身。2014年に新卒でビームスへ入社し、メンズドレスの世界へ足を踏み入れる。ビームスみなとみらい、ビームス EX 横浜(現ビームス ライフ 横浜)、ビームス 二子玉川、Eコマース部門を経て、〈Brilla per il gusto〉のバイヤーに。私生活では男の子3人の父親として育児に奮闘中。最近は子供が習っているヒップホップダンスが日々上達していくのを見るのが楽しみ。