FEATURE

2024.02.26

【Vol. 4】わたしの “つづく服。”洋服を永く着る。永く愉しむ。

BEAMSの様々なスタッフがバトンを繋ぎ、思い入れのあるアイテムをそのストーリーと共にご紹介する連載、「わたしの“つづく服。”」
第四回目は「ビームス 立川」のスタッフが登場。 BEAMSの各店舗ではさまざまな“つづく”取り組みを実施していますが、昨年11月には“つづく”にまつわるイベントやワークショップも実施していることで評判の店舗です。意識の高いスタッフたちの審美眼にかない、長く愛用しているスペシャルな逸品と、そのアイテムと繰り広げられたドラマティックなストーリーをご紹介します。

往年の銀幕のスターに憧れて

 

「ビームス 立川」スタッフ 川口滉二

私は収集癖があり、気に入った形や素材があれば同じ物を色違いで購入する事が多々あります。〈Ray-Ban〉の『OUTDOORSMAN』という70sのモデルも買い足してしまうアイテムのひとつです。58mmのガラスレンズ上部に砂打ちが入るモデルで現行とは異なる縄手のデザインもお気に入りのポイント。その中でも今回着用したカリクロームと言われるイエローレンズが1番のお気に入り。

 

映画『ラスベガスをやっつけろ』でジョニー・デップがイエローレンズのティアドロップを着用しているのに憧れて、何度か挑戦したのですが、彼が着用していた『SHOOTER』というモデルは62mmの大きなレンズで、自分には大き過ぎて、着けこなすことができませんでした(笑)。

 

しかし、BEAMSに入社してから58mmのレンズの『OUTDOORSMAN』に再挑戦してみると意外とフィットし、存在感がある雰囲気にも納得。ヴィンテージのアイテムには、現行とは違うデザインや、ストーリーがあるところも魅力で、今でも少しずつ集めています。

 

今回サングラスと一緒に着用しているジャケットも実は、映画『ファイトクラブ』でブラッド・ピットがボルドーのレザージャケットを着用しているのに憧れ、探し求めて数年前にようやく見つけた逸品。

 

〈LOEWE〉のジャケットだからこその質感と、独特な色や照り感、ラペル(下襟)の形がアバンギャルドなムードを漂わせてくれるお気に入りのアイテムです。着用をし過ぎて袖に雨シミが残ってしまっていますが、気にせずにこれからもガシガシ着用しようと思います(笑)。職業柄、服の量が年々増えてしまうのですが、着続けることが洋服への愛情表現だと感じているので、市場価値やトレンドで購入するのではなく、「自分にとって価値が感じられ、何年も大切に着る洋服なのか?」という自分のものさしを大事にして購入するようにしています。

 

 

 

入社時から大切にしているジャケット

 

「ビームス 立川」スタッフ 笠朱里

このジャケットはBEAMSに入社して、すぐの新人時代に購入した〈Vermeerist BEAMS〉で取扱のあった〈J.PRESS〉のメンズジャケットです。入社当時の私は、違う業界からアパレル業界へ転職し、洗練された空間と感度の高いスタッフに囲まれ、ワクワク、ドキドキしながら日々働いていました。

そんな中、当時働いていた「ビームス ウィメン 原宿」の〈Vermeerist BEAMS〉にこの素敵なジャケットが入荷し、一目惚れ!ただ、購入には勇気がいる金額だったので、毎日「素敵だな〜」と眺めることしかできませんでした(笑)。ある日、試着をするタイミングがあり、〈Vermeerist BEAMS〉ディレクターの犬塚さんからの「このジャケットは一生物だよ。今後起こり得る様々なシーンで活躍するし、それが思い出の品となる。」というお声がけが心に刺さり、「これからアパレルスタッフとして頑張っていくぞと」と意を決して購入にした思い入れのあるアイテムです。

 

また、犬塚さんから「〈J.PRESS〉はアメリカで生まれた歴史のあるブランドで、隆盛期のアメリカではイケてるメンズたちがカッコよく着崩して着てたんだよ。」などと歴史話を伺い、アメリカンカルチャーが大好きな私はストーリーにも惹かれました。今では特別な日やイベント時に着用し、初心を思い出しながら気合を入れています。購入した日の自分の気持ちを忘れずに、このジャケットと共に思い出を沢山増やしながら、これからも大事に着続けたい1着です。

 

 

 

洋服の奥深さを知ったデニム

 

「ビームス  立川」スタッフ 斎藤栄康

このデニムは今から14、5年前に購入した〈Levi’s〉『 501XX 66』モデルです。購入当時はデニムにはそこまで詳しく無かったのですが、復刻版ではあるものの、「USA製のリジットデニム、ビッグE、赤ミミ、これはヤバいぞ。」と先輩がざわついているのを見て絶対購入すると決めた1本です。洋服屋であるBEAMSで働くようになって、服の歴史や背景を調べるようになったきっかけの1本でもあります。

「このデニムは、2インチは縮むから考えてサイズを選べ。」と言われ半信半疑でありましたが、2サイズアップの34インチを購入。一度目の洗濯できっちり2インチ縮みウエストはジャストサイズに。デニムの奥深さも学び、リジットデニムの購入を検討している方には経験談としてお伝えしており、販売員としての経験値も引き上げてくれました。初めの内は大事に穿いていたのですが、自転車を乗ることが多いため、股に穴が開き、ロールアップをしたままで保管をしていたので折り目の部分がほつれ、当時の面影をダメージとして残しつつも、リペアを繰り返して一緒に育ってきました。このまま歳を重ね、自分の人生を映しながらおじいちゃんになっても愛用していたい一本です。

 

 

 

運命的な出会いをしたお気に入りのオーバーオール

 

「ビームス 立川」スタッフ 佐藤歩

古着屋で購入したヴィンテージハウスタグの〈Lee〉のオーバーオール。オーバーオールだけで30着も集めてしまうほど、オーバーオールは大好きなアイテムです。今回着用しているものは、偶然立ち寄った古着屋で出逢い、一目惚れをして購入。履いているうちに、もともともともとほつれていた裾やウエストのボタンが更にボロボロになり、何度も何度もリペアをしながらも愛用し続けています。私はアイテムへの愛着が湧きすぎて着用出来ないものもある程(笑)。古着のデザインはもちろん、一点物だということや、一期一会で「コレだ!」という洋服に出逢う喜びなど、古着が好きな理由は数えきれない程ありますが、その中でも特に魅力を感じるのは、一つ一つのアイテムにバックボーンがあること。どの時代にどんな人が着て、どんな風にこのお洋服とどんな時を過ごしていたのかと想像するのが醍醐味です。

 

そして、〈Lee〉のオーバーオールと同様、運命的な出逢いで購入したカレッジリングもバックボーンを想像するのが楽しい愛用アイテムの一つ。ずっと自分の生まれ年のカレッジリングが欲しくて、探しに探して、やっと出逢えたリングです。デザインや使われているストーンの好みはもちろん、サイズまでピッタリで、出逢った時はこの運命の出逢いに心から感動しました。実は、リングの内側に持ち主の名前が刻まれているのですが、あえて今も持ち主の名前は消さずに愛用し、持ち主はどんな方だったのかと想像する時間を楽しんでいます。

 

入社する前からずっと愛用している〈BEAMS BOY〉のBBロゴネックレス。入社する前も〈BEAMS BOY〉が大好きで、特に、今までもこれからも永遠にBBロゴマニアの私です(笑)。購入してから毎日愛用し続け、金具が壊れてはリペアし、かれこれ付き合いは19年。青春時代から念願だった〈BEAMS BOY〉を担当することが決まり、働いている今でも、趣味の一人旅でもいつも一緒。色んな時間を共に過ごし、私にとってお守り的な、相棒以上とも言える命と同じくらい大切な存在です。

 

 

 

 

人、街、地域がつながり、未来をはぐくむワークショップ

『つながるまち in TACHIKAWA』

昨年11月に「ルミネ立川」のマルシェイベント『Youthful×Useful Mart』にて、「ビームス 立川」のスタッフによるワークショップが開催されました。その名も『つながるまち in TACHIKAWA』。

 

ワークショップの企画にも携わっている、スーパーバイザーの川崎学にインタビュー。

 

 

『つながるまち in TACHIKAWA』の企画・実施の経緯を教えてください。

私がショップマネージャーを兼任しながらスーパーバイザーとして「ビームス 立川」を担当していた際、「立川駅の周りをもっと元気にしたい。」という漠然とした想いがありました。そこで「ビームス 立川」が入っている「ルミネ立川」の担当の方に「なにかイベントをやりませんか?」と話を持ちかけたのが始まりです。そして「ルミネ立川」の屋上のリニューアルオープンにあわせてイベントを企画して、『つながるまち in TACHIKAWA』の開催が決まりました。

 

「ビームス 立川」の特色として、地域のお客様と店舗の関係性が近いこともあり、漠然としていた「元気にしたい!」という想いと「人、街、地域がつながり未来をはぐくむこと」を目的と掲げ『つながるまち』という名前でイベントコンテンツを考えました。

 

“つづく”を大きなテーマに、お客様と店舗スタッフとのコミュニケーションを第一に考えたお客様参加型のワークショップがメインコンテンツになるよう、店舗スタッフと一緒に企画を考えました。“持続可能な地域の創造”という視点で、過去に商品で使用した生地の端切れを活用したワークショップの開催や、屋上にも衣料品回収ボックスを設置しすることによって、普段からBEAMSの店舗では衣料回収を行っていることを改めてお客様に伝える機会にもなりました。

 

実際にイベントを実施してみて実感したことはなんですか?

 

 

店舗スタッフが主体になってイベントが運営できるように、ワークショップの内容はすべて店舗スタッフに考えてもらいました。本来であれば捨てられてしまう生地の端切れを、自分たちで考え何かの形にするという行動は、「もったいない」という視点からもうひとつ先のアクションを考えるきっかけになったのではないかと考えています。クリエイティブなことを考えるときのスタッフの表情は活き活きしていましたし、装飾する塗料として余ったマニュキュアを持ち寄るという発想が生まれたりしたのは素晴らしいなと思いました。

 

ワークショップに参加いただいたお客様の反応を得られたのもよかったです。作ったものを大事に持って帰るお子様の姿が印象的でした。衣料品回収に関しては、「存在は知っていても内容は知らない」という方が大半で、当日はお客様へ衣料品回収の仕組みを知っていただくこともできました。「今度は捨てるのではなく、衣料品回収へ持ってきます」とのお言葉もいただき、もっともっとその取り組みが広がっていくといいなと思いました。

 

 

 

“つづく”にまつわることで、スーパーバイザーとして心がけていることはなんですか?

地域を知ること、地域の未来を創造すること、そして店舗スタッフが主体となり地域のお客さまが「また行きたい」「あのスタッフに会いたい」と思っていただけるような店舗運営を考えること、そんなことをスーパーバイザーとして心がけています。「持続可能な地域の創造」と言ってしまうと、硬く聞こえてしまいますが、地域の「ヒト、モノ、コト」が繋がって、それが「つづいていく」。そういうきっかけが作れたらなと考えています。

 

今後のサステナブルにまつわる店舗施策の展望を教えてください

今回は生地の端切れを使用したワークショップを実施しましたが、今後はさらに視野を広げた取り組みができたらと考えています。ローカルのショップやアーティストを沢山巻き込んで、賑やかなローカルマルシェみたいなことも妄想しています。『つながるまち 』をキーワードにしながら定期的に各エリアを巡っていけるようなコンテンツにできたらいいなと考えています。

PROFILE

  • Manabu Kawasaki 川崎学ビームス スーパーバイザー

    2002年に新卒でBEAMSに入社。店舗スタッフとして複数の店舗を経験し店舗マネージャーも務める。2021年よりスーパーバイザーとして担当。ハマるととことん熱中してしまう性格。

    クラフトビールの探求と、週末は次男を連れてスノーボードにハマっています。