〈アルテック〉の
スツール60 ナチュラルラッカー

SELECT by MIZUMA / HIGASHITANI / WAKAYAMA

B-JIRUSHI MARKET AWARD ー No.001

自宅での長い時間をともに過ごす家具は、いうなれば家族のような存在。とびきりの愛情をもって、無理なく寄り添えるデザインを選びたいところ。そこで今回は、タイムレスな名作スツールを紹介。〈エンケル〉の水澗航さんを交え、その名作たる理由に迫ります。

私たちが選びました!

SELECTOR

  • 世界中にコレクターが存在する
    シンプルデザインの金字塔

    水澗 航

    〈ENKEL INC.〉Chairman

  • 言わずと知れた名作を
    90周年のタイミングでぜひ!

    東谷 弥生

    BEAMS Corporate Planning DEPT./個人商店オーナー

  • 入門編であり、終着点。
    完成度が高すぎる!

    若山 侑大

    〈bPr BEAMS〉BUYER

〈Artek〉Stool 60

最小限のデザインで魅せる
北欧が生んだ大傑作

水澗 :  インテリアにそれほど詳しくない方でも、きっとどこかで見かけたことがある。それくらい定番で普遍的。フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトがデザインした「スツール 60」は、今も世界中で愛されています。
東谷 :  確かに。ファッション業界にもファンが多く、ビームスで働く我々からすると非常に馴染み深いデザインです。ショップやプレスルーム、友人宅など、目にする機会が本当に多い!
若山 :  この椅子を見て、誰もが「普遍的だ」と思うこと自体が凄いですよね。天板の素材や脚の数、色違いなどを含めると数え切れないほどのバリエーションがありますが、そんなふうにアレンジがきくことも魅力です。

東谷 :  パッケージのシールに「90 YEARS」の文字が記されるように、1933年に生まれたスツール 60は今年で誕生90周年を迎えました。だからか、注目度がさらに高まっているみたいですね。

水澗 :  ええ。今や多くのクリエイターが好みのスツール 60を血眼になって探しています。なかでもこれは、アアルト本人らが立ち上げたブランド〈アルテック〉からリリースされるいわば“本家”の物。アート(芸術)とテクノロジー(技術)を掛け合わせた名前が示すように、極めてモダンで合理的なモノづくりが貫かれています。

工芸に寄り切らず大量生産を可能にした点も、
モダンプロダクトの醍醐味のひとつ。

東谷 :  あらためて考えると、100年近く経っているのにデザインがまるで古びていない。長い時間をかけて家具と寄り添っていく北欧の人らしい考え方で、憧れちゃいます。
水澗 :  最低限の構成要素からなるシンプルデザインなんですが、ちゃんと理にかなっていて実用的なところも素晴らしいですよね。たとえばこの「L -レッグ」と呼ばれる湾曲した脚には、強固な無垢材を直角に曲げる技術が息づいています。だから強度に優れ、末長く美しく使えるんです。

若山 :  自分で簡単に組み立てられるから、初心者にもうれしい。でも僕は、これは入門編のインテリアではなく、ある種の到達点だとも考えていて……。広く沢山の物に触れていかないといけない立場としては、もう少し“心のレベル”が上がってから手にしないと、これだけで満足してしまいそうで怖いんです(笑)

天板と脚をネジで固定。
初心者でも簡単に組み立てられます。

東谷 :  そうかなあ。そんなに難しく考えず、まずは使ってみたら?
水澗 :  それこそバリエーションが豊富なロングセラーなので、年代ごとにディテールが少しずつ異なります。その意味では、こだわりの強いインテリア好きならではの楽しみがあるアイテムとも言えるでしょう。ビギナー向けに見えて、玄人もハマってしまう。

若山 :  それもこれも、もともとのデザインのズバ抜けた完成度を物語っていると思うんです。だから必然的に、どんな部屋にもマッチする。あえて言わせてもらうと、欠点がなさすぎてズルい。そして、いつかは絶対欲しい(笑)
東谷 :  考え過ぎてるな〜(笑)。年を経て味が出た感じも素敵だと思うし、今のうちに買っておいたほうがいいんじゃない?

水澗 :  僕もそう思います。大事に使いながらも自然とついてしまうキズやヘコミを含めて、その家具ならではの特徴になる。緩んだネジを締め直したりして使い続けるうちに、自分の暮らしの一部になっていくのでは?

若山 :  勉強になります!

付いたキズや
ヘコミまで楽しめる

古びないデザインに
あらためて感動

ズルい、
けどいつかは絶対欲しい(笑)

Stool 60

Artek

¥31,900 (inc.tax)

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PROFILE

  • 水澗 航

    〈ENKEL INC.〉Chairman

    1981年生まれ。石川県出身。2014年にアパレル中心のショールーム〈スタジオファブワーク〉を立ち上げ、さまざまなブランドのPRを担当する。2019年からはギャラリー兼ショールームの〈エンケル〉をスタート。かねてより服とともに強い興味のあったインテリアや建築にまで活躍の場を広げ、ライフスタイル全般にまつわる業務を守備範囲とする。2023年11月にはミラ・ナカシマの特別展を担当するなど、各種企画展も手掛けるファッション・インテリア業界のキーマン。

  • 東谷 弥生

    BEAMS Corporate Planning DEPT./個人商店オーナー

    ショップスタッフを経て〈Ray BEAMS〉のバイヤー・ディレクターを経験し、産・育休後の今は経営企画部に所属。好きなものは、家族と猫のほか、偏りのあるもの、愛情があるもの、そしてピンク! ハイファッションから古着まで幅広い知識を持ち、表現力豊かなMIXコーデはファン多数。個人商店では、ユニークかつ目新しい、偏愛アイテムを紹介する。

  • 若山 侑大

    〈bPr BEAMS〉BUYER

    1993年生まれ。愛媛県出身。2017年に入社し、ショップスタッフを経て2021年より〈bPr BEAMS〉のバイヤーに就任。「良い影響はどんどん受ける」が信条で、もとは根っからの服好きにもかかわらず、仕事で触れたインテリアの世界にのめり込む。こだわりの家具は、自室の壁一面に飾った無数の掛け時計。趣味は独学で始めたピアノで、いつかビル・エヴァンスのオータムリーブスを上手に弾きたい。

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