よく皆さんも雑誌などで目にする海外の見本市。
服好きの方であれば、イタリア・フィレンツェで行われる
ピッティ・イマジネ・ウォモが一番有名ですかね。
あとは、スイスで行われる時計の見本市、バーゼル、SIHHもですかね。
そう、世界にはこれ以外にも数多くの見本市があります。
インテリアはイタリア・ミラノのミラノ・サローネ、
靴であれば、ドイツのGDSやイタリアのMICAMといった具合に。
あまり知られていないかもしれませんが、メガネの見本市というのもあって、
イタリアもMIDO、フランスのSILMOというのが2大巨頭。
写真上は、フランス・パリで行われるSILMO展を取材した様子ですが、
まだメガネ専門誌も1誌しかなかったような時代に
日本のメディアで初めて取材に入ったのがミツキを含めた、われわれチームでした。
シルモドールと呼ばれるMVPも発表され、そのパーティがベルサイユ宮殿で行われるなど、
今思い返すと、かなり豪華なイベントだったな~。
というわけで――
日本の産地である福井県・鯖江にもそれなりに足も運び
メガネにも一過言を持つと自負しておりますが、笑。
むかしっから、“何でないのかな~?”と思っていることがあったんです。
それが、洋服では当たり前の名作ヴィンテージを、今に昇華させる手法です。
洋服以外のプロダクトでも、どうしても服好き視点で
アプローチしてしまうのが、ミツキの性、笑。
メガネも古き良きヴィンテージを元に、今使える仕様へ。
そんなモノがあったらいいのにな~、とずっと思っていました。
そんな中、見つけたのがこの<NEW.>というブランド。
アメリカ、ヨーロッパのミッドセンチュリーのヴィンテージをベースに
まさに服好き視点でメガネというプロダクトを企画。
しかも買いやすいプライスでね。
メガネって単純な構造ですが、取材を進めていくと
素材やパーツ開発、チタンをしっかりと打ち抜ける特別なプレス機、
玉型のデザインなんかは髪の毛1本分の精緻なラインまで……などなど、
あの小さなカタチの中に、膨大な工夫と技術が凝縮されているモノではある。
だけど、そのこだわりが値段となって現れちゃ~ね~。
その点、<NEW.>のプロダクトは、しっかりと機能は備え、古き良きオーラをカタチに。
まるで、オックスフォードBDを買うような感覚、白シャツを選ぶように買っています。
今ではヴィンテージメガネを今に、という手法を始めたブランドがいくつかあるんだけど、
この<NEW.>、の良さをいうならば、
コンバース、オールスターのトウ部分の“オデコ”や
VANSのヒール部のステッチの本数……などなど、
ヴィンテージ好きがこだわえい“譲れない数値”、微差にこだわっている点。
この定番「CHUMLEYS」なんかは、
アメリカミッドセンチュリー期にみられるレンズ幅44ミリにこだわり、
ブリッジ部はヨーロッパのウィンテージに見られる24ミリ幅にする、
なーんていう、米国と欧州の特徴をミックスしてカタチにしている。
まだ私がメガネを取材し始めた約20年前といえば、
いわゆる“スリープライス”のメガネレーベルが出始めた頃。
今や驚くような安価でそれっぽいメガネが手に入るようになりましたがね。
なんだが無機質というか、温かみがないというか……
やっぱりモノ好きとしては“所有感”も大切。とはいえ、1万円ちょいですよ。
ちょっと奮発してでも、作り手の想い、アイデアが垣間見えるモノがいい。
そういった意味でもこの<NEW.>は、メガネの世界に新しい価値観を提起してくれた
メガネ界のシン・ベーシックな存在といっても過言ではない。
古き良きヴィンテージディテールを盛り込んだシンプルなスタイル。これさえあれば!と思わせる、究極のフツーにいい。洋服に例えるなら白オックスBD的なメガネといえる。