大変よ〜くデッキました

UPDATE : 2023.11.01

ヤミツキアイテム

Shoes『MIL CVO』

(SPERRY TOP-SIDER × BEAMS PLUS)

ブランドやウンチクはもちろんですがね、ここではいかに“効く”かがキモ。
数あるビームスの商品の中から、『Begin』プロデューサーミツキが実際に、着て、見て、触って、効能あるモノだけピックアップ!
「ヤベェ!マジ使えるわ!」の声をいただくべく、令和を迎えて新時代、実のある身勝手コラムBeginしま〜す。

『AALTO』の映画観ました?

何年前になるのかな~……フィンランドを代表するデザイナー、『アルヴァ・アアルト展』。葉山の美術館で開催されていてね、とにかく圧巻の展示数に感激♪ ミツキも足を運びました。言わずと知れた代表作、アルテック『スツール60』と妻である、アイノ・アアルトがデザインしたイッタラのグラス、スツールの上にグラスを置いて‟夫婦傑作“写真を撮ってみましたが(笑)、長年愛用しているヤミツキインテリアです。「スツール60」はバーチ(白樺)を直角に曲げる技術(L-レッグ)を実現した名作ですが、誕生から90周年を迎えた今、デザイナーであるアアルトの記念映画が放映されるなど、また注目をされています。しかも、何だかヴィンテージ市場でも球数が枯渇しプライスも高騰しているようで……見つけたら買っとけ状態。密かに入手困難の賜物となっています。で、そんな名作のヴィンテージディテール

といえば、直角に曲がった箇所に入るアールを描いたライン。バーチの繋ぎ目があるのですが、その数が写真のように4枚レイヤーであれば貴重な1965年以前のモノ、それ以降は現行も含めて5枚レイヤーとなる。なーんて、どんなアイテムにもこのような垂涎ディテールがあるものですが、69品目のヤミツキは、こちらも誕生からもうすぐ90年を迎える元祖! ソールに波形のアールを描くデッキシューズ。Begin本誌8月号のBB10でも第1位で‟たいへんよ~くデッキました“(苦笑)……と題し、だいぶん‟上から目線”で紹介した本作ですが、こちらではとことん‟ヤミツキ目線“でどこがよくデキなのかを、もっとディープに買い説していきたいと思います。

スニーカーのヴィンテージディテールといえば……

写真上はミツキ愛用のマッキントッシュのダンケルドにグローブ・トロッターのクルーズ。英国傑作モノのヤミツキです。この2つに共通している点といえば‟ヴァルカナイズ“、ゴム引き&ヴァルカンファイバーを‟圧着する”という製法によって作られています。で、スニーカーにもヴァルカナイズという古き良き製法があって、いわばデニムなら旧織機による赤ミミ&スウェットなら旧式の吊り編機による丸胴生地のような……VANSオーセンティックのヒール部のステッチやコンバースオールスターのトウ部分やヒールパッチなど、年代を判別するディテールもありますが、やはり‟圧着する“という古き良き製法は、スニーカーにおいてヴィンテージを体現する大切な要素と言えます。このデッキシューズの元祖、トップサイダーも、もちろんヴァルカナイズド製法により作られています。アッパーを木型に吊り込むのは革靴と同じ、底付けはグッドイヤーやステッチダウンといった縫製で行いますが、スニーカーはここで‟圧着”を使います。ソールをアッパーに接合し、接合部分をゴムテープで巻いていく……クルックルッと、ひとつずつまさに手作業で、すばやく&美しく巻いていくのだ。その後加硫窯(硫黄成分でゴムに弾性を与え、熱で接合する)にスニーカーを入れ熱でしっかりと圧着させる。とういうのが、古き良き製法の流れなのだ。ちなみに……革靴の木型は文字通り‟木“を削って作りますが、スニーカーの木型は加硫窯で熱するから、不燃のアルミ製、なーんていうちょっとした‟へェ~”も加えておきましょう。

そんな古き良き製法で作られた今回のヤミツキデッキ、これほどヴィンテージを忠実に復刻したスニーカーって他にあります?ってくらい、木型、色、素材感、スタンプ、ソール……とまさに抜かりなしの別注作。ミツキ的にはニューバランス1300が復刻されるくらいアガりましたね♪ ということで、作り手の欲しい!がとことん詰まった、よくデッキシューズw ブッ刺さりポイントに行ってみたいと思います♪

 

 

YAMITSUKI POINT

#MITSUKI’S ADDICTIVE

1
2
3
  • 1溝端会議って何?
  • 2ビームス別注の十八番

  • 3ソールの豆知識

POINT - 1

井戸端ならぬ溝端会議、ミツキが命名しましたw

溝端氏とは、ご存知ビームス プラスのディレクター。出会いは10年以上前になりますが、気持ちよ〜く浪漫飛行♪を歌っていたのを思い出します、笑。そんな彼のクリエイション、普段あまり帽子を被らないミツキであるが、いつも脱帽させられる。わかりやすく言えば、“抜き具合”がいい……だけど、妥協がない。名作をしっかりリスペクトしながら、ひと息入れるのが実に巧いのである。そんな彼を中心に、ビームス プラスのモノ好きたちが、時間の経過も忘れ、とりとめのない服談義をしている。それを‟井戸端”ならぬ“溝端”会議とミツキが勝手に命名w そんな有識者のあーでもないこーでもないから生まれる企画にはいつもヤラれてしまう。この別注トップサイダーも溝端会議発。軍パンにオールデンのミリタリーラスト379Xを合わすスタイルをちょっと崩してみたらこうなる……的な話しでもしていたのかな~、なんて勝手に妄想しながら、写真上の軍パン×デッキシューズのスタイル、肩肘張らずにいいよね~♪

POINT - 2

熱い想いがアメリカを動かした?!

創業者ポール・スペリーの愛犬が氷上を難なく歩く姿をみて、犬の肉球からヒントを得て開発した、という逸話は聞いたことあるよ〜って方いますよね。船上でも滑らない、波線状の溝が入ったスペリーソール。実は米海軍に採用された歴史をも持っています。このモデルはそのNAVYモデルを徹底研究。オールデンのモディファイドラストのように内側に弧を描いたラスト、サイドテープの太幅、そして、NAVYが採用したブラウンのカラーにキャンバスの粗野な素材感……と徹底的に好きをカタチに。インナーには軍支給⁈と思わせるコントラクターラベル的なスタンプを押印するなど、まさに‟妥協なき”だ。そんな服好きフルスペックのテンコ盛り仕様をトップサイダー側に実現してもらうため、先述した溝端会議の座長である溝端氏が米国本社へ熱い想いを直談判! 見事にその想いはアメリカを動かし‟好きをカタチに“を実現してくれたのであーる。しかも、シュータン部分にはスリッポンとしても履けるようにゴム仕様に! こんな新たなディテールまでプラスしちゃうってとこがまたビームス プラスの底力♪

POINT - 3

ソールに色が入っているのはなぜ?

甲板上で滑らないように考案されたスペリーソール。全体に入った波型模様が特徴ですが、波型の刃型を使い1本ずつ入れていく……という意外と手間がかかった仕様なんですが、そんなソールについて、昔スニーカー工場取材で聞いた豆知識があります。デッキシューズのソールって、白や青といった色付きが多いと思いません? その理由は、クレープソールのような生ゴムだと弾力があって波型の刃が入っていかない……そのため、白や青など硬化剤を入れて波型の刃がしっかり入るようにするため。ちなみに……革靴の木型は文字通り‟木“を削って作りますが、スニーカーの木型は加硫窯で熱するから、不燃のアルミ製、なーんていうちょっとした‟へェ~”も加えておきましょう。

MITSUKI’S VOICE

  • ベーシック好きは必携の一足ですね

    ベーシック好きは必携の一足ですね

ということで、今月も最後に #顔切りのカリスマ 解説。

白ボタンシャツを一枚ってくらい、

このデッキシューズ、めちゃくちゃ重宝しますね

先ほどヤミツキポイントにて

軍パンにオールデンのミリタリーラスト379Xを合わすスタイルを

ちょっと崩してみたら……と書きましたが、

見てくださいよ! 革靴の品の良さは備えつつの脱力感。

デッキシューズって、シューレースが外羽根でなく

ドレスシューズのように内羽根ですから、

フツーのスニーカーより品よく見るってのが魅力。

太パン&ワンクッションでちょいとスニーカーが覗くのもいい感じです。

定番ネイビーは、こりゃもう白パンに合わせてマリンスタイルが

言わずもがな。安定感バツグンでブルー系のベーシックアウターを

ONするとバッチリまとまりますね。

INのポイントにフェアアイル柄を持ってくるあたり硬派でいいね~♪

で、カーキの軍パン合わせに続いては

名作ジムパンツとのミリタリー×ミリタリー。

ビームス百名品』に選出された、

名品コーデは文句のつけようがない、これぞ‟究極にカッコいいフツー“。

木型、色、素材感、スタンプ、ソール……とまさに抜かりなし!

ビームススタッフのベーシック愛が生んだ究極のデッキシューズ。


ニッポンのベーシック史に名を刻む名作と言ってもいいでしょう!


ではまた次回♪

  • 古き良き製法:

  • 妥協なき本格派:

  • 品の良い脱力感:

『Begin』プロデューサー
光木拓也

1977年生まれ。2000年に㈱ワールドフォトプレス入社。モノ・マガジン編集部を経て2006年㈱世界文化社に移籍。Begin編集部でファッションを担当し、2017年10代目編集長に就任。これまで、さまざまなジャンル、海外、国内の生産現場を取材し、本当にいいモノは何かを追求している。座右の銘は“中坊マインド”。いつまでも中2のときのようなワクワク感を求め、ヤンチャに各地を飛び回りいいモノ発掘中。2021年10月よりプロデューサーとして、ブランドとのコラボや新事業開発を担う。

Begin Magazine

肩肘張らないカッコいい!を追求する創刊34年目、クスッと笑えるフレンドリーでディープなパッション誌。ファッション、料理、インテリア、アウトドア……etc.
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