ふぞろいのニットたち

UPDATE : 2023.11.17

ヤミツキアイテム

SHETLAND KNIT

BEAMS PLUS

ブランドやウンチクはもちろんですがね、ここではいかに“効く”かがキモ。
数あるビームスの商品の中から、『Begin』プロデューサーミツキが実際に、着て、見て、触って、効能あるモノだけピックアップ!
「ヤベェ!マジ使えるわ!」の声をいただくべく、令和を迎えて新時代、実のある身勝手コラムBeginしま〜す。

難色は示さず何色も買いたくなる

“癖”というか……むかしっから、気に入ったモノがあれば、同じ形の色違いをついつい買ってしまいます。クラークスのデザートブーツにワラビー、VANSのオーセンティックにパタゴニアのバギーズショーツにBICのライター……挙げればキリがない(苦笑)。同じモノがいくつも欲しくなるって、完成された形の裏付けであって、コレクションともちと違うんだよな~。難色を示すことなくナットクして何色にも食指が伸びてしまうのだ。先日も、BRAUNのクロックを買い足した。『BC02』と呼ばれる、MOMAの永久所蔵品『AB1』の復刻品。ビームスでも別注している、言わずと知れたアラームクロックの名作だ。愛用品は‟ホワイト”でしたが、ブラックはもちろん、比較的新しい“グレー”が登場したら買い足し、で、気付けばレッドやネイビーも……、ベッドサイドだけでなく、玄関に洗面所にキッチンに、あらゆる場所にBRAUNが点在しています(笑)。で、この間は同じ形なのに“んんん⁈” 微差に気が付いてしまってまた購入……それは『BC02』でなく、写真上の『BC19』という品番で、より文字盤のアラビア数字がデカい!! こりゃ視認性がいいに違いない~♪ とアドレナリンが……。“微差こそ大差”、モノ好きにとっては思わずニヤリな違いにヤラれてまた購入、ブラックが2個に増えてしまったのでした(笑)。というわけで、今月はそんな多色買いのヤミツキ。付き合いは10年以上になる‟ニットの10年選手”について。ビームス百名品にも認定!の大定番を買い説していきたいと思います。

Begin誌面登場は2013年。25色以上の色バリに驚愕

ラップに包まれたクラークスのデザートブーツにオックスフォードBDシャツがいつも店頭に置いてある……というのはトラディショナルなセレクトショップの原風景。で、アメリカンなトラディショナルショップには、色とりどりのケーブル&シェットランドウールのニットが美しく常備してある……ビームス プラスも長年に渡りファンから愛される“不変の品揃え”が不可欠!そんなワクワク感を体現するため、2009年秋冬からスタートしたのがシェットランドニットだ。本物を求めバイヤー自らスコットランドまで出向き、シェットランド島の名門ファクトリーにて生産。ハンドフレームという手動の編み機のみで制作&スコットランドの国花であるアザミのトゲで掻いて起毛させる手法で作られている。一枚一枚手作りですから、職人の熟練した技術を要し、大量生産のマシンでは出せない弾力や風合いが魅力。サイズ感も微妙に不揃いで、同じLサイズでも何枚か着比べて個体差を楽しんでみたりね……で、圧巻なのが25色以上というカラー展開。Beginに初登場したのは2013年、写真上が当時の誌面ですが、それからというもの、毎年肌寒くなるとこのニットが気になっちゃうんだよね~。今年も1週間で気温が20度以上下がった今、25色以上の上がるニットが欲しい!

ってことで、写真上はミツキが先日撮影したビームス プラス 原宿の店内陳列の様子ですが、
2019年にインスタ@mitsukinoyamitsukiにアップした写真下と比べてみると……

何にも変わってな~い♪ そう、いつもあそこに行けばある、新しい色に出合える、この安心感と高揚感こそがたまらなく嬉しい! ってことで、毎シーズン新色も追加されながら、ず~っと店頭を変わることなく飾るニットのポイントに行ってみたいと思います♪

YAMITSUKI POINT

#MITSUKI’S ADDICTIVE

1
2
3
  • 1なぜこんなに色バリがあるの⁉
  • 2ビームス プラスonlyカラーも!

  • 3“ハンドフレーム”を貫く!

POINT - 1

スコットランドのTRIBE柄に秘密あり⁈

シェットランドニットの魅力といえば、フワモコの素材感に圧巻のカラーバリエーションでしょう。でもね、なぜこんなに色展開をしているの? 写真上のニットはビームス プラスで扱うジャーミンソンズのニットですが、伝統的なフェアアイルなどの複雑な柄を表現するのには、かなりの数の色糸が必要。なので、もともとスコットランドのニッターには多くの色糸が常備されていて、その色糸たちを単体で使うことで、多くのカラーバリエーションが容易に作れちゃうというわけだ。

POINT - 2

ビームス プラスでしか手に入らないカラーも!

写真上はかなり前になりますが、#顔切りのカリスマと一緒に町中華で紹興酒を楽しんでいるときのひとコマ(笑)。このとき着用しているのが“ケリーグリーン”というカラーです。古き良きシェットランドニットのカラーをビームス プラスが別注し再現したもので、座右の銘が “中坊マインド”のミツキは、大人になれないピーターパンカラーとして愛用していました。このように、バイヤーが色出しからこだわっているカラーもあり、店頭スタッフとそんな色談義をしながら買い物を楽しむってのもイイですよね♪ 現在は全27色展開。一年に1色買い足したとしてもコンプリートには27年かかる(笑)。でもこれだけ多くの色展開をした意味は、向こう20年以上、長~くお店に通ってもらいたい、という想い、メッセージでもあるのだ。

POINT - 3

サイズバランスを均一にすることはできますが……

先述したように、このニットはスコットランドの古き良き製法、ハンドフレームによって作られています。旧式の手動編み機を使い、スウェットの丸胴のように脇に継ぎ目がなく、シームレスに編み立てられています。ビームス プラスファンにわかりやすくいえば、『ニット界のループウィラー』といったところでしょうか。熟練した職人の手作業による‟温かみ“にあふれる作りですから、同じサイズでも多少のブレが生じてくる。同じようにみえて世界に2つとない、オンリーワンなニットが手に入るわけだ。以前、このシェットランドニットの企画に参加したバイヤーからこんな話を聞いた。「老舗ファクトリー側から丸胴ではなく、脇を剥いでサイズを均一化することもできますよ、と提案いただいたんですが、ビームス プラスとしては、伝統的なアートピースとしての不均一さを大切にしたいし、そのクラフツマンシップによる‟味”をお客様に楽しんで欲しいとの想いから、敢えて伝統的な作りを堅持することにしたんです」。……美しすぎる!! 旧織機によるデニムの赤ミミと同じように、古き良きニットの味を今もなお店頭にて伝え続けてくれているのであーる。この話を聞いてミツキはだいぶん上がりましたね。ホント、ビームス プラスって伝統を守り、それをベースとして今のエッセンスを注入する。よくバイヤー陣たちは“現代的解釈”って言葉を使うけれど、このニットこそ真髄が見て取れる代表選手なんじゃないか、と思うわけです。

MITSUKI’S VOICE

  • スウェットの延長戦上で大人っぽく使える

    スウェットの延長戦上で大人っぽく使える

ミツキ的にはこのシェットランドニット。
スウェットのように気軽に使えて
品よく仕上がるベーシックアイテムとして重宝。
手持ちの定番パンツに合わせるだけで、素材感も相まって
秋冬の時期ウォーミーな装いにしてくれます。

ご覧のように、ブルーデニムに生成りを合わせたら
オートミールのスウェットよりも大人っぽく洗練された
ベーシックスタイルになりますよね。
デニムとスニーカーの同色合わせも新鮮だな~

グレーのスラックスには深めのカラーをON。
ディープなグリーンをチョイスすれば、
安心感がありながら、いつもとはちょっと違うね、感が出せます。

で、オリーブのパンツにはグラデーション。
アースカラーで合わせれば、今すぐマネしたい配色!
で、お気づきになられた方もいるかと思いますが、
今回、シューズはすべて同じブルースエードのスリッポン。
デニムと同色テクもいいですが、すべてのパンツに相性抜群!
このスリッポン便利だな~♪
ということで、今月も『ビームス百名品』に選出された、
シェットランドニットについてでしたが、
巷には大量生産で画一化された無機質ニットが氾濫する中で、
この‟ふぞろいのニットたち“、ぜひ店頭に足を運んで、
まずはカラーで悩み、そして試着しまくって自分好みの1着を探す。
1時間程度、週末時間を作ってお買い物を楽しんでみるのも一興かと♪
ではまた次回~

  • 圧巻のカラバリ:

  • 古き良き製法:

  • スウェット感覚:

『Begin』プロデューサー
光木拓也

1977年生まれ。2000年に㈱ワールドフォトプレス入社。モノ・マガジン編集部を経て2006年㈱世界文化社に移籍。Begin編集部でファッションを担当し、2017年10代目編集長に就任。これまで、さまざまなジャンル、海外、国内の生産現場を取材し、本当にいいモノは何かを追求している。座右の銘は“中坊マインド”。いつまでも中2のときのようなワクワク感を求め、ヤンチャに各地を飛び回りいいモノ発掘中。2021年10月よりプロデューサーとして、ブランドとのコラボや新事業開発を担う。

Begin Magazine

肩肘張らないカッコいい!を追求する創刊34年目、クスッと笑えるフレンドリーでディープなパッション誌。ファッション、料理、インテリア、アウトドア……etc.
Begin=何かをはじめたい!人の欲しい!に応えるコンテンツ満載。衣食住遊のクレバーライフを送りたい人のためのグッドライフバイブルです。
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